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月はまた登り…1
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「うっ……く……っ!」
「…………」
"何かがおかしい"
人の精神とは砂山の様なものだ。
どんなに大きく壮大だとしても少しずつ削っていけば確実に崩れ落ちる。
"そういうものだ"と、ルシファーはよく分かっていた。だが…
「お前…。なぜ壊れないの?」
「…?」
「これだけ苦痛を与えればほとんどの人間は抜け殻のようになるのに。私を見ただけで恐怖に顔を引き攣らせたり泣き叫んだり…。なぜお前は耐えられる?」
奏の心は強く美しい。
だからこそルシファーは壊したいと思い、それは容易い事だと思っていた。
しかし実際には思うようにいかず、さすがに疑惑の念が少しずつルシファーの頭に根付き始めた。
「辱められ、痛めつけられ、自分が惨めだと思わない?なのにどうしてまだそんなに強い瞳をしていられるんだろう」
自分に問うているのだろうか?
半分うわ言のようなルシファーの言葉に答えが見つからず、奏は不安を募らせながら黙って彼の様子を伺った。
「……。今夜は趣向を変えようか」
「え…?ぅわッ!な、何…?」
"ギシッ"とベッドが大きく揺れ、奏は目を大きくして何度も瞬きを繰り返す。
その目と鼻の先にはガラス玉のように透き通ったルシファーの瞳があった。
「今夜は気持ちよくしてあげる」
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