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今夜は週に一度の夜。ルシファーがミサによって呼び出される日だ。
「人とは本当に理解し難いものだ…」
自分の住処を出ればまだ月が輝き始めたばかりだった。
これではまるで自分がこの時を心待ちにしていたかのようだと、アスタロトは自嘲する。
奏は興味深い。
しかし一体彼の何が悪魔の思考を左右させるのか。その答えを今夜こそ見つけ出そうと真っ直ぐルシファーの住処へと漆黒の翼を大きく扇いだ。
「…!お前は…」
「これはアスタロト様。ルシファー様は外出されておりますが」
ルシファーの住処へ到着したアスタロトが扉を開ければ、そこには彼直属の配下である悪魔の姿があった。
「サタナキア…。お前こそここで何をしている」
「私はルシファー様より留守を仰せつかりました。"誰も通すな"…と。それはあなた様でも例外ではありません」
サタナキアはルシファーの忠実なる下僕。
同格のアスタロトではなく彼を動かしたという事は、疑わしい者の中に自分も含まれているのだとアスタロトはすぐに悟った。
「急ぎの用件だ。そこを退け」
「なりません。先程も申したはずです、"例外はない"と」
「オレは彼の"尻拭いをしてやる"と言ってるんだ」
「?それはどういう──ッ!?」
「眠っている間に帰るよ」
サタナキアが気を逸らした隙に彼の意識を奪い、眠りについたのを見届けたアスタロトは悠々と奏のいる部屋に向かった。
──もう後戻りはできない。
ルシファーが知れば怒り狂うのは目に見えている。
「どうするつもりなんだ……」
自分の考えが分からない。
気の赴くまま行動をしていれば、アスタロトいつしか引けないところまで来ていた。
それは奏にとっても後のない夜となる。
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