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それから数日経ったある日。
しばらくはネビロスと顔を合わせないよう願っていた奏だったが、早速彼と会う機会ができてしまった。
しかも部屋に2人きりという気まずい状況だ。
「彼……何て言ってました?」
「あなたに能力を授けよ、と」
「はあ……」
ネビロスの不可解な報告を受けてからというもの、アスタロトはそれまで放任していた奏の教育に力を入れ始めた。
まずは知識。
ありとあらゆる種類の本を奏に読ませ、悪魔のみならず多方面へとその幅を広げさせた。
そして契約の方法、悪魔としての振る舞いや行動を実際に見せたりもした。
そんな勉強漬けの日々の中。
珍しくアスタロトが留守にしたかと思えば"今日はネビロスから教われ"と一言を告げ、今に至る。
「あの……ネビロスさん。この間はその…っ、いつから部屋の外に…?」
「この間?……あぁ、お2人の睦事の邪魔をしてしまった時ですか」
「睦……っ!?そ、の言い方はちょっと…」
「…?言葉を間違えてしまいましたか?」
「えっ…と…、間違いじゃないんですけど生々しいと言うか…」
「…………」
頬を染めて伏し目がちになる奏の様子が理解できず、ネビロスは首を傾げた。
それと同時に奏が抱える問題にふと気が付く。
外側は悪魔の端くれであっても、彼の内側はまだ人間なのだと。
「なる程……。まだ質問にお答えしておりませんでしたね。私は、アスタロト様が行為を静止する少し前からおりました。ですからあなたの艶めかしい声、荒い息遣い、ベッドを軋ませる音も全て聴いております」
「っ!?な、なんでそんな言い方するんですか…!」
「またお気に触りましたか?」
「……、そういう事は例え聴こえていたとしても伏せておくべきだと思います!人として…」
「"人として"?あなたは私に人として振る舞えと…?それこそ、相手を侮辱する恥ずべきお言葉では?」
「あっ……、いえ、そんなつもりじゃ…」
「お言葉ですが、あなたには悪魔としての自覚や誇りが全く感じられない。いつまでも人間のつもりでいる事こそが、あなたが悪魔として開化しない要因かと」
「!……僕にどうしろと?」
「私の力をご存知で?」
ネビロスはどこまでも冷淡な口調で、不安を宿した奏の瞳にニヤリと笑ってみせた。
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