アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
・
-
「おわっ!?なんだよ!!」
「あ、ごめんなさい!」
「危ねーだろガキが!」
「すみません!」
目の前に現れる悪魔を次々と掻き分けては謝る。
それを繰り返しながら逃げ続ける奏の目にやっと扉が見えてきた。
(もう少しだ…!)
「────待て」
あと少しでここから出られる。
そんな矢先、突然横から伸びてきた手に腕を捕まれ、今まで蓄積した奏の不安と混乱が一気に頂点へと達した。
「ッ離せこの──変態!!」
「ぅぐッ!!……ッ、テメ……っ」
「……へ?」
奏が無我夢中で放った蹴りは事もあろうか急所へと直撃し、男は前のめりに蹲り悶絶する。
再び逃げるには好機だったが、奏はその声に聞き覚えがあり、怪訝そうに男の様子を窺った。
「ちょこまかと逃げ回りやがって!」
「っ!!」
蹲る男に気を取られていた奏は逃げていた事などすっかり忘れ、息を切らしながら追ってきた悪魔に腕を捻り挙げられた。
「ようやく捕まえたぜ!さァて、後は大人しくオレ達に食われ…」
「テメーら……」
「あぁ?」
獲物を捕らえた悪魔は勝ち誇った顔でセリフを吐きかけたが、苦痛に歪む男の声が足元から響き、悪魔達はその男に視線を落とすや否や血相を変えた。
「ル、ルキフゲ様!?」
「いかがなされたのですか!?」
「え!ルキ…さん!?」
悪魔達が口にした名の男はギロリと怒りを込めた血眼を上げ、牙を見せた。
「テメーらせいで俺のムスコが潰されかけたんだ!!覚悟しやがれぇえええ!!」
「ひっ…ひぃいいいい!!」
L('ω')┘それから10分後└('ω')」
「全く、あれ程申し上げたというのに…。あなたには危機感というものが存在しないのでしょうか。それとも私の言葉は大袈裟だと思われましたか?どちらにせよ対処法も身を守る術もないあなたはご自分が無力だという事を証明したに過ぎず、尚かつこの会場で大騒動を繰り広げた挙句、多大なる迷惑を与えた。……主にルキフゲに。何か言い分は?」
「…………ごめんなさい」
大広間の隅の隅。
そこには正座をする奏と彼を取り囲む見知った悪魔達の姿があった。
「ま、まぁまぁ。ネビロスもその辺で許してあげなよ~。無事に見つかったんだし良かっ…」
「少しも良くありません。大人しく私に付いていて下さればこの様な騒ぎを起こすこともなく、ルキフゲが被害に遭うこともなかったのですから」
「あ~、あれは痛そうだったね…」
「ルキ。ちょっと泣いてた。」
「そりゃ泣きたくもなるよ。男なら誰でも無条件で守る場所だからね」
奏に同情したインキュバスがネビロスの説教を止めに入るも、激痛に沈んだルキフゲの姿を思い浮かべ苦笑いをする。
「でもさ~。これってそもそも、ネビロスもカナデから目を離したって事じゃない?君、本当にカナデの事ちゃんと見てたの?」
「…………」
インキュバスから痛い指摘を受けたネビロスは否定する事もなく、ただ無言で視線を逸らした。
これは自分の非を認めたも同然。
しかし奏は横に首を振り、彼の代わりに弁解を始めた。
「それは違います。ネビロスさんは確かにちゃんと先導してくれてた。それなのに僕がつい周りに気を取られて……。本当にすみませんでした」
「「…………」」
「え……なに?」
「失礼ながら……あなたは"バカ"ですか?」
「え"」
「ぷッははは!本当!ある意味そうかもね~」
「なっ…!なんだよ!?そりゃあ、賢いとは言えないけど…。ふ、普通だよ…!普通!」
「はいはい。"普通"、ね」
なぜネビロスに呆れられインキュバスに大笑いされたのか訳が分からない奏は不服そうにそっぽを向く。
「…………」
「…………」
そして、セーレにひたすら頭を撫でられる意味も不明だ。
「…!?鐘の音?」
4人の和やかな雰囲気を引き締めるような鐘が屋敷の中に重く響き渡る。
すると、それを合図に散らばっていた悪魔達がぞろぞろと大広間の中心に集まり、皆一様に同じ場所を見上げた。
「さぁ、参りましょう。総会が始まります」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
75 / 83