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新入生歓迎会 3
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「お疲れー。あれ?制服?」
「聖夜今日無理なんだって。なんか話あるみたい」
俺の代わりに答えてくれた亮平、純は話?と首を傾げながら起き上がり、亮平はその横に座った。
「あのさ。俺1週間のうち2、3日は放課後用事で出掛けてただろ?あれ、母さんのお見舞いなんだ。
母さん今入院してて…今日も行くんだけど」
「「え!入院?」」
驚いたように目を開き、心配そうな顔をする二人。
「まぁ…病気でね。病院行ったりして誘いも断ることがあると思うんだ。ゴメンな」
「謝ることなんかないだろ!お母さんに顔見せてやる方が大事!」
「そうだよ!聖夜が謝ることないよ」
二人はオーバーともとれるリアクションで首を横に振った。
「ありがと。今日は外泊届出してあるから帰ってくるのは明日の夕方かな。
明日で良かったらゲームやろう」
「おう!んじゃまた明日な」
「帰ってきたら、メールして?」
「うん、分かった」
二人は母さんの病状などは詳しく聞いてこず、お母さんにヨロシクと言っただけだった。
そんな風に少し距離を取ってくれるところが、二人の優しさなのかもしれない。
部屋に戻り私服に着替えるといつもの鞄を持って部屋を出た。
バスに揺られて病院に着き、いつものように消毒を済ませると母さんの側に寄り、椅子に座る。
「母さん、純と亮平がヨロシクだってさ。イイ奴らだよ、二人とも」
最近会ったことや、新歓では何をするかなどを話して聞かせる。
何の反応もないけど、それでも話し続ける。
時には黙って母さんを見つめたり、窓の向こうを見上げたりと3時間ほど病院で過ごし、俺はまた街へと向かった。
「じゃあ、またね」
そう言い遠ざかっていく背中見送り、俺も歩き出す。
今日の稼ぎは6万円。その半分はオーラルセックス。
口でする場合も、1個分使うよ。そう言うと、だいたいナカへ突っ込む方を選ぶ客が大半のなか珍しい客だ。
まぁ人の性癖は色々あるしな。
「はぁ…」
真吾さんの店に向かいながら、無意識に出たため息。
足りないなどと思うことは、なかった。だけど、どこかスッキリしない自分がいる。
あー、イライラする。
今日は朝まで飲も。
そんな決意を胸に歩き続けて目的地に到着、扉を開けた。
カラン…という開閉音に、店内にいた奴らがこっちを見る。
「よ。」
片手を上げ店の中に入るけど、誰も声をかけてこない。
「今日は、2階へ直行じゃねーのな?」
「…今日は飲みたい気分だから」
からかい口調の真吾さんにそう返してカンパリソーダを頼んでから、一番奥にあるソファ席に座った。
「良かったなお前ら。今日の白夜はそんなに機嫌悪くねーみたいだぞ」
真吾さんが笑いながらそう言った瞬間、店内にいた奴らが周りに集まってきた。
「白夜ー!ひっさしぶり!」
「おっまえ、最近機嫌わりぃって聞いてたからさー」
「元気っすか?」
「白夜さんっ!一緒に飲みましょー!」
次々に声をかけてくるみんな。そんなみんなを見て、前の自分の所業を反省。
この¨dumpsite¨に集まるのは、この南区を縄張りとするチームの奴らばかり。
今日はNo.1チームの陽炎(カゲロウ)の奴らがいた。
俺は今まで店内に他のチームが一緒にいるところを見たことがない。
きっとルールみたいなものがあるんだろう、いつ来てもひとつのチームの奴らしかいない。
「よう、白夜」
隣に座ってきた赤い髪のワイルド系の男。
「久しぶり、ルイ」
このルイが、陽炎のトップ。
喧嘩をすれば、屍が秒単位で増えるという伝説を持つ男だ。こえー。
「焔(ホムラ)の奴が言ってたぞ?この前白夜見たけど、めちゃめちゃ機嫌悪かったって。
それに紅(クレナイ)の奴らも」
2回続けてすぐに2階に上がった日にいたのは、焔と紅の奴らだったのか。ごめんねみんな。
焔はNo.2、紅はNo.3だ。
南区は、比較的チーム同士の仲は悪くない。この店では無いけど他のとこで一緒に飲んだりするし、集まって遊んだりするし。
でもいざ勝負事になると敵味方ハッキリしてるけど。
チーム同士、勝負をするときは武器なしの素手勝負、正々堂々。
そーゆう奴らは、好きだ。
南区は他の区に比べて統制が取れてるって聞いた。
何でも南区を統制している¨朱雀(スザク)¨はやったらめったら恐ろしい奴らしく、刃向かったものは制裁をくらうらしい。
この店に通うたびに、陽炎や焔、紅の奴らが色々と教えてくれた。
その朱雀が誰かなのかは、No.1からNo.3のチームのトップしか知らない。
トップは口が堅く、絶対に漏らさない。
つまりはこのルイは、朱雀が誰かを知っているということだ。
まぁ、別に知りたいとも思わないから聞かない。
別にどのチームがNo.1だろうが、誰が統制をとっていようが興味ないし。
「はいよ、白夜」
真吾さんがわざわざカンパリソーダを持ってきてくれて、そしてルイとは反対側の俺の横へ座る。
「さんきゅ」
「乾杯する?」
ルイがグラスを向けてきたが、無視をして酒を飲んだ。
相変わらずつれないなぁ、なんて落ち込むルイはちびちびと酒を飲み、真吾さんはおかしそうに笑っていた。
何に乾杯するんだよ。あほらしい。っつか、何笑ってんだよ真吾さんは。
クイっと一気に飲み干し、グラスを真吾さんへ渡す。
「おかわり」
「俺はカウンターから出たから後はセルフサービス」
カウンターの中を指差してから俺を見る真吾さん。
「ヤだ。真吾さんが入れた方が美味いもん」
グイっとグラスを押し付けると、ヘイヘイっと仕方なさそうに酒を作りにカウンターへと向かった。
「ほらよ」
「ありがと」
話し掛けてくる奴らに適当に相槌をうち、チョコやナッツをつまみながら3杯目のおかわりを真吾さんに頼む。
すると次はすんなりと作りに行ってくれた。
3杯目を半分ぐらいまで飲んだところで段々と意識がぼーっとしてきて、目を開けてるのが辛くなる。
「白夜?酔った?」
ぼーっとする俺を見てルイが聞いてくるが、それに答えることもできないぐらい眠気が襲ってきた。
俺はそのままルイの肩にもたれかかり、まどろむ。
「真吾さん、何か入れた?」
ルイが俺の頭を自分の膝へ動かしたことも。
「ん?あぁ、睡眠薬を少しな。何か悩んでそうだったし多分朝まで飲むとか言い出しそうだろ」
「朝までコースかぁ。そりゃちょっと困るなぁ。白夜酔ったら手つけらんないし」
「だから飛ばさせたんだよ」
複雑そうに話す二人も。
「しっかし、寝顔はあどけないよね、白夜」
「そうだな」
「さすがに寝てる時は無防備だねぇ。何でもやりたい放題」
「…すんなよ」
「ははっ。しないよ。白夜に嫌われたくないし」
「まぁ、手出したら黙っちゃいない奴がわんさかいるしな」
「ほーんと。白夜は人気者で困っちゃうよ」
寝顔をじっくり見られていたことも。
「ほれ貸せ、上連れてく」
「えーもう連れてくの。名残惜しい…」
お姫さま抱っこで真吾さんに運ばれたことも。
ルイの肩に寄りかかったまま熟睡した俺は何にも覚えちゃいなかったーーー。
「ん…」
目を覚ますと、店の2階のベッドだった。
もぞもぞと寝返りを打ち枕元にあった携帯で時間を確認すると、10時を過ぎていた。
起き上がりバスルームへと向かうと、頭から熱いシャワーを浴びながら昨日の事を思い出す。
なんか急に眠くなった気がする。…盛られたか?
「真吾さんめ…」
おかげでシャワーも浴びずに寝たじゃねーか。
まぁ、ナカに精液を出されたワケではないから別にいいんだけど。
一通り洗い終わると、バスルームから出て服を着る。
そして1階へと降り店の中に入ると、真吾さんがソファに座り新聞を読んでいた。
「お、起きたか」
「おはよ。真吾さん、一服盛ったでしょ」
カウンター席に座ると、新聞をテーブルに置いた真吾さんがカウンターの中に入ってきた。
「バレたか?睡眠薬をちょっとな。疲れた顔してたし。よく寝れただろ?」
「…まぁね。でも朝まで飲むつもりしてたのに…」
「お前が酔っ払うと厄介なんだよ」
「厄介って…ひどいなー」
「ははっ。ほらよ」
湯気が立ち上がるココア。そっとカップを持ち上げてふーっと冷ましながら飲む。
ふいに真吾さんの手が俺の頭を撫でた。
「髪濡れてる。風邪ひくぞ」
「だいじょぶだいじょぶ。すぐ乾くし」
「猫っ毛だもんな。やらけぇし」
サラサラと頭を撫でる真吾さんの手が、気持ちいい。
目を閉じされるがままになっていると、ふっと真吾さんが笑った。
「お前は本当、猫みたいだな。見知らぬ相手には威嚇するし、慣れてもツンとするし。
だけど気を許すとこうやって甘えてくる」
「…それって、俺が気を許してるって言いたいの?」
「なんだ、違うのか?」
「…違わないけどさ」
くっと笑い、手が離れていく。
「みんな遅くまで残ってたの?」
「いや、あれから1時間ぐらいで解散した」
「ふぅん」
ここに通う奴らは、多分俺が何をしているのか知ってる奴が大半だと思う。
街で客を待つ間、たまに知ってる顔を見かけても話し掛けてはこない。
店で会っても、別に蔑んだような目では見てこない。
だから、ここの居心地は悪くない。
店を後にした俺は"白川聖夜"に戻り病院を訪れたあと、約束通り亮平の部屋へ。
深夜遅くまでゲームに興じた俺たちは、三人仲良く昼までぐっすり寝ていたのだった。
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