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ーカシオペアー
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つ、ついにこの日がやって来た!!
そう、俺は今日寝台特急カシオペアではじめての旅行なのだ
一緒に行く友達はクラスメイト
最初は電車は退屈とか言って渋ってたけど、俺が全額負担すると言ったらようやく頷いてくれた
し・か・も!!
そいつ、スイート以外はパスとか言うしさっ!
でもでも、どうしても乗りたかったからずっとためていたお小遣いを全額下ろして、手の中からあっという間に消えていく瞬間を見たわけで
だって・・・・一人は寂しいし、旅行は初めてだし、不安だし
でも、夢にまで見たカシオペアに乗って旅行に行けるんだしねっ
いらないものまでたくさん詰め込んで、大きな荷物を抱えながら漸くホームにたどり着いた
「あれ・・・まだ来てない?」
おかしいな・・・・
待ち合わせは確か
時計を見つめ、時間は間違っていないと確認しながらキョロキョロと友達を捜した
「おかしいな・・・・・そうだ!電話」
ポケットから・・・・・え・・・うそ・・・・マジ?
「ありえない・・・充電したまま家に忘れるとかありえない」
どうしよう
でも、今から戻る時間はないし
「ああっ!!」
どうしよう
発車の合図が
そっか!
もしかしたらもう中にいるのかも
俺は先の事などなーんにも考えずに
列車に飛び乗ってしまった
ホント・・・・馬鹿すぎる
「んと・・・・部屋は・・・あっ、ここだ」
チケットを見つめながら漸くたどり着いたドアだった
「感動・・・・・・」
きっともう中にいるはず
なんてったってスイートだしねっ!!
ホントは二人で感動を分かち合いたかったけど・・・・・仕方がない
後でもう一度感動しよう
今は、この荷物を降ろして座りたい
ドキドキしながらドアを開けて、少し怒りながら言った
「もう!!駅で待ち合わせって約束したのに、ひどい・・・・・・・え?」
だ、だ、だれ??
もしかして俺が間違えた?
うわっ!めちゃ恥ずかしいっ
「ご、ごめんなさ・・・・」
「いや、あってるぞ」
「・・・・・・・えっ」
どう言う事?
あってるってなにが?
全然あってないしおかしいおかしい
「あの・・・・・」
「君が燕羽君?」
「はい」
誰?
どうして俺の名前を?
「俺は冬矢」
「はい・・・・・」
やばい
何この人っ!
かっこよすぎでしょ!!
てか、男なのに思わず見惚れてしまうなんて
「簡単に説明しようか」
「お願いします」
「昨日の午後、君と約束していた翔は夏風邪で倒れてそのまま入院したんだ」
「えっ!!」
「と言っても、心配はいらない」
「よかった・・・・・」
倒れるなんてホントにびっくりしたけど、大丈夫そうで安心した
「そして翔に俺の分まで楽しんできてと言われチケットを渡された弟の和海は、翔が心配だからと俺にチケットを渡し、翔と私の為に楽しんで来て欲しいと無理矢理な事をね」
「あ、あの・・・・・」
「電話で翔の事を君に伝えようとしたけど繋がらないので、直接伝えた方がいいと思ってね・・・・・でも、君を驚かせてしまったみたいだし迷惑だったな」
「えっ・・・・」
「俺は次の駅で降りるから、翔の分も楽しんで来いよ」
「いえ・・・あの」
迷惑とか全然考えてなくて、むしろ嬉しかったりして、逆に彼の方が迷惑だよね・・・とか色々考えてしまって
「あ、あのっ!」
「ん?」
「あのあの・・・・もし、もしよかったら一緒に・・・その」
「えっ?」
「俺は一緒に行ってもらえたら嬉しいというか・・・その」
なに、この告白みたいな緊張感
逆に、忙しいとか言われからマジで泣くし
「俺と?」
「はい、初めての旅行ですごく楽しみだったけど不安だったし、一人になるなら俺も帰ります」
「楽しみにしていたんだろ?」
「そうですけど・・・・・でも」
一人は嫌だし、やっぱり怖いし・・・・・と言うか、数分前に会った人とまだ離れたくないと言うのが本音で
「だめ・・・ですか?あ、あのっ!邪魔なら話しかけませんし、視界にも入らないようにします」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「えと、ホテルとかの費用も俺が・・・その」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「なんでもします!出来る事なら何でもっ!!」
とにかく必死だった
どうしてこんなに必死になっているのかさえもわからなくなってきたし
「・・・・・・・・・・・クスッ」
「ふぇ?」
「わかった、一緒に行こう」
「えっ?」
「君を見ていたら、久しぶりに旅行がしたくなった」
「は、はい!」
「それから、俺は年下にホテル代を出してもらうような事はしないよ」
「でも」
「チケットは君持ちだったんだろ?」
「・・・・・・・でも」
「では、ここから先は俺に任せろ」
「え・・・っと」
「それが条件だ」
よくわからないけど頷かなければもう会えない人だと直感したから
頷いた
「とにかく座れ」
「はい」
すこし揺れる車内と車輪の音
すごくドキドキするのは、彼のせい
彼は翔との話や、弟の和海さんの話を俺に話してくれた
確かに従兄妹がいるという話は聞いた事があるけど、子供だと勝手に思いこんでいたし
「あの・・・・翔と和海さんって」
「聞いてない?」
「いえ、恋人の話は聞いています・・・・和海さんという素敵な女性・・・・・えっ??」
「和海は男だ」
「ああっ!俺、勝手に女性だと勘違いして・・・ごめんなさいっ」
「いや、いいけど・・・もしかしたら同性の恋人と言う事を隠していたのかも知れないし」
「いえ、翔は女性だとは一言も・・・・あはは」
「軽蔑する?」
「まさかっ!愛に国境や性別はありません」
「へぇ」
「えと・・・好きになってしまったらどうしようもないですし・・・その・・・はい」
現に俺も男の人を見てドキドキしてるし
「成程ね」
「えっ?」
「和海は翔と君が映ってる写真を見て・・・・・さすがだな」
「あの?」
「俺のタイプがドアを開けてやって来た時は驚いた」
どういうこと?
というかタイプ?
「え?」
「しかも、次で降りると言った瞬間、顔を真っ赤にして泣きそうな顔で必死になる姿が可愛くて、わざと返事をしなかった」
「ええっ?」
「時間はまだたくさんあるから」
「はい」
「何でもすると言ったよな?」
「はいっ!・・・・・・えっと」
確かに言ったけど・・・・うん、何でもします
「でも、今はもう少し俺になついて欲しいかな・・・時間はまだたくさんあるしね」
そう言って握られた手がすごく熱くて・・・・・
「この手はもう離さないけどね」
「・・・・・・・・はい」
もうだめだ
その言葉で全ての理性が飛んだ
犬のようにお腹を見せて服従してしまいそう・・・・てか、したい
俺の初めての旅行はドキドキが止まらない旅行になりそうだ
ーたぶん完ー
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