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いい匂い
どうせこれもまた夢
「あっ、おはよう!」
「・・・・・・・・ああ」
「キッチン使わせてもらったぞ」
「いや、それよりも体は」
「えっ・・・ま、まぁ・・・・腰とか変な筋肉とか痛いけど歩けないほどじゃないし」
「そうか」
「朝食食べるだろ?」
「ああ」
「もうすぐ出来るからな」
「わかった」
夢ではなかった
もう二度とこんな朝は来ないと思い込んでいたのに
懐かしい匂い
その匂いで目が覚めた
シャワーを浴び、今度はちゃんと服を着てリビングへ戻った
「座って」
「ああ」
テーブルには作りたての玉子焼き
焼き魚
のり
サラダ
まだ湯気の立っている味噌汁とご飯
「ごめんな、食材がこんなものしかなくてさ」
「十分だ」
そう
俺には十分
豪華な出来合いのものよりも数百倍嬉しい
「そっか」
「今日は少し付き合ってくれ」
「ん?いいけど・・・・俺もアパートに戻って荷物とか整理しなきゃだしな」
「ああ」
美味しい朝食を食べながら、俺にはやるべき事を考えていた
「そう言えば家賃っていくら?」
「あ~~、今月分を入れて約20万かな・・・・はぁ、気が重いけど何とか分割で返済できるように話してみるよ」
「その必要はない」
「えっ」
「家賃を全額支払ってそのままここに引っ越せ」
「ええっ?でも、そこまで迷惑は」
「お前さ」
「うん」
「昨日、俺が言った事をちゃんと聞いてた?」
「聞いてたけど」
「お前は俺が護る・・・・・恋人として」
「こ、恋・・・・!」
「たまに考えていた・・・・・この先、誰かと紡いでいく未来が俺にはあるのかと」
「うん」
「その答えが昨日見つかったから」
「えっと・・・・・それって」
「嫌なのか?」
「そうじゃない、ホントに俺なんかでいいのかなって」
「勿論」
「・・・・・ありがとう」
「それにお前は危なっかしくて一人にはしておけないしね」
「・・・・あはは」
朝食を食べ終わり、俺は母親の仏壇に手を合わせながら言った
「あの金は使わせてもらうよ・・・・俺のやりたい事にね」
こうして俺達は一緒に暮らし始めた
寂しかった部屋はアサのおかげで明るい部屋へと変わった
いろいろな物も増えていった
仕事はと言うと・・・・・・・
「そろそろ出掛けるからな」
「ああ」
「今夜は予約が入ってるし忙しくなりそうだ」
「俺も後から行くよ」
「わかった」
俺は残してもらった金で、小さなレストランを建てた
もちろん店を任せているのはアサだ
その店はなかなか好評で、毎日忙しく働いていた
と言っても、俺はホールだけどね
もう母さんの作った料理の匂いはもう二度としないけど、今は愛する人が俺の為に作ってくれる
それだけで俺は満足だ
そしてこれからも毎日、俺はこいつの作る料理で目を覚ます
最高の幸せ者だ
ー完ー
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