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校門が見えてきたので、降ろしてもらおうとしたら電話が鳴った
「繭は先に行きなさい」
「うん」
「どうぞ、電話に」
「うん」
電話の相手は朝から聞きたくない奴だった
いきなり来いって・・・・
一応断ると、金は倍払うと言って引かないし
内容は・・・・・・考えなくてもわかる
どうせ乱交だろうな
気が重い
何で俺だけこんな目に遭わなければいけないんだろう
両親が生きている時は、幸せな単なる高校生だったはずなのにね
溜息をつきながら携帯をしまい、車から降りようとしたら腕を掴まれた
「どちらへ?」
「・・・・・・・・・・関係ないだろ」
「しかし校門は正面ですよ?」
「用事が出来たんだよ!もう俺に構うな!」
「では、送ります」
「いい」
「いけません、貴方は怪我をしています」
「怪我って・・・・」
かすり傷なのに大袈裟だろ
でも、こいつも引かなさそうだ
「・・・・・・・・・・・じゃ、ブリタニアホテルまで」
「ブリタニアホテル・・・・ですか?」
「知り合いが待ってるんだよ」
「成程、あそこのホテルは会員制でしたね・・・・・貴方はどなたかのご子息でしょうか?」
「もううるさいよ?行かないなら降ろしてくれない?」
「わかりました」
会員制とか先生とか
そういう言葉は聞き飽きた
たまにTVに出て、笑顔で政治を語るおやじは俺を縛り付けるのが大好きだ
有名な小説家は、水をたくさん飲まして我慢出来なくなるとトイレ代わりに口を開けて全て飲むようなやつ
他にもたくさんいる
と言うかまともな奴が一人もいないしね
「知り合いに会うのに浮かない顔ですね」
「・・・・・・・・・・・・・・別に」
「貴方は魔法を信じますか?」
「は?」
こいつ、頭大丈夫か?
「意味がわからないんだけど」
「そうですね、申し訳ありません・・・では質問をかえましょう」
「もういいよ」
「貴方は今、幸せですか?」
「・・・・・・・・・・・・・さぁね」
幸せなはずがない
俺の毎日は暗く濁りきったまま
「最後の質問です」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「幸せになりたいですか?」
なんなんだこいつは
宣教師か?
「なりたいね、なれるものなら今すぐにでも」
「わかりました」
やっと静かになったけど、少し気になって逸らしていた顔を少しだけそいつに向けた
「・・・・・・・・・・・・・・・」
驚いた
さっきの繭って奴も可愛かったけど、こいつは綺麗だ
男・・・だよね?
何か書類を見て仕事をしているみたいだけど、髪を耳にかける仕草がすごく綺麗
そんな横顔に少しだけ見惚れていると、嫌な場所に着いてしまった
「ありがとう、じゃ」
「私もここに用事がありますので」
「えっ・・・・・」
「行きましょう」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
何だろう
今から会う奴の顔を見られたくないな
きっと俺がなにをしにここに来たのかもわかってしまう
綺麗な庭を歩くと豪華な玄関が見えて来た
さすがに中には入らないだろう
「えっ?」
「何か?」
「別に」
入ってるし・・・・
しかも顔見知りみたいな感じだし
「翔、待っていたよ・・・・・・・・・貴方は」
「ご無沙汰をしております」
「あ、ああ」
「申し訳ありませんが、彼は私がいただきます」
「えっ?それは困る・・・・こいつには金が」
「いくらですか?今ここでお支払いしますよ・・・・ただし、その金額分の取引はなかった事にしていただきますが」
「なっ!」
「私の言っている意味がおわかりですよね?」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「今後一切、関わるなと言う事です」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「もし・・・・・同じ事をした時は、わかりますよね?」
「・・・・・・・・・・・・わかった」
「さすが先生ですね、理解が早くて助かります」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「では、これで」
何?
どうなってるの?
てか、こいつは何者なんだ?
「行きましょう」
「えっ・・・・」
「私が貴方を幸せにします」
「何ってんの?」
「ご不満でも?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
不満はない
ないけど、意味がわからない
大体そんなに簡単に幸せなんか
「やはり占いどおりでした」
「占い?」
「ええ、今日の占いです」
「でもあれは・・・・」
「パンをくわえて・・・ですね」
「そうだよ」
「最後まで観なかったのですか?」
「うん」
「今日のラッキーアイテムはパンをくわえて猛ダッシュしてぶつあった相手が運命の人・・・ただし、パンをくわえてぶつかった本人ではなく、パンを口にくわえさせた人が本当の運命の相手」
「なっ・・・・なんだよその回りくどい占いは」
「私が急いでいる繭にパンをくわえさせましたので」
「えっ」
「私の運命の相手は貴方と言う事になりますね」
「ちょっと待って!いいのかよ、占いでそんな事を決めても」
「ええ、むしろ占いに感謝しています」
「・・・・・・・・・・・・でも」
「翔は何座ですか?」
「乙女座」
「今日の乙女座は、朝綺麗な場所でシャワーを浴びると運気が向上」
「綺麗なって・・・・・」
「ここのホテルの自慢は綺麗なバスルームですよ」
「なっ!」
「幸せになりたいのでしょ?」
「運気が向上しても無理だね」
「それは試してからでも遅くはないのでは?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ね?」
そして連れてこられた部屋は見た事もないような豪華な部屋
スイート以上だ
「でも、何であんたが」
「和海で結構です」
「・・・・・・・・・・・じゃ、何で和海がここを」
「ここは私か経営するホテルの一部分ですので」
「・・・・・・・・・・・は?」
「バスルームはあちらです、ごゆっくり」
「あのさ・・・・・」
「はい」
「ごゆっくりと言われてはいそうですか・・・と言えるかよ!そもそもさっき会ったばかりだろ?ま、まぁ・・・助けてくれた事には感謝してるけど、もうこれ以上俺の生活を壊すなよ!」
「壊すつもりはありますんよ」
「でも、今日の収入が消えた」
「では、私がお支払いします」
「それはいい」
「何故?」
「なんでも!」
何だろう
こいつからそんな金は貰いたくないと思った
確かに金は欲しいけど、やっぱり嫌だ
あいつらと同じになってしまうじゃないかよ
こいつはそんな奴じゃないと思ったし、何となく嫌だった
「そもそも何で俺なんだよ?占いっていう答えはなしな!」
「そうですね・・・・占いはあくまでも占いでしかありません」
「だろ?」
「貴方の事は知っていました」
「えっ?」
「写真が好きな変態が自慢げに見せてくるので」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・そっか」
なるほどね
ようするに俺はこいつに買われたわけか
「写真は下品で見せられるたびに吐き気がしましたね」
「だろうね・・・・・じゃ、俺を見て吐き気がしてるんじゃない?」
「吐き気がしたのはヘラヘラとわらっているたぬきおやじにです」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「遅かれ早かれ、貴方に会いに行こうと思っていました」
「何で」
「写真の貴方に一目惚れをしたので」
「なにそれ」
「でも・・・・そう考えると、占いも馬鹿に出来ないものだと」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「私の事はこれから知るというのはいかがですか?」
「いくらで俺を買うの?」
「そうですね・・・・・・永遠と言う事でお金ではなく貴方に幸せをさしあげましょう」
「どうやって」
「それを確かめたければご自分で」
「・・・・・・・・・・・さすが兄弟だね」
「よく言われます」
でも、こうして話をしている間にも
俺の心は少しずつ傾いていた
変な奴だけどきっとこいつの腕の中は俺に安心を与えてくれる
そんな気がしたんだ
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