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冬矢からの電話が入った後、すぐに空港に向かった
「和海」
「翔・・・・・・」
「俺も行くよ」
「そうして頂けると・・・・・っ」
翔の顔を見た途端、張り詰めていた糸が切れてしまった
翔は従兄弟で、同じ屋敷に住んでいた
昔からいつも三人で遊んでいたので今は兄弟みたいなものだ
「和海・・・・・・」
「冬矢がっ・・・・・・冬矢・・・・・」
「今は泣けばいい・・・・でも急ぐのなら飛行機の中でまた泣け」
「はい」
「楓は仕事?」
「ツアー中で・・・・でも逆によかった・・・・今の顔を見られたくはありませんので」
「・・・・・・それで冬矢は?」
「感じるんです・・・・・もう冬矢は」
「・・・・っ!」
「冬矢に最後のお願いをされました」
「お願い?」
「旅行先で恋人が出来たと言っていました・・・・・その恋人を頼むと」
「うん」
「とにかく急ぎましょう」
「だね」
冬矢は恋人が眠っているベッドの近くに、眠剤入りの水を用意した
喉が渇いてその水を飲めば、丸一日眠るだろう
それだけで冬矢が本気だった事がわかる
悲しませたくない・・・・・その気持ちは痛いほどわかる
しかし、真実を告げなければいけないんだ
日本に戻ってから全てを恋人に
機内ではずっと冬矢の事を考えていた
今まで二人だった関係が崩れたんだ
双子とは奇妙なもので、相手の考えている事もわかってしまう
俺達は特にそういう現象が多かった
だから許せない・・・・・・
俺の羽を片方もぎ取られたのと同じなんだ
何度か冬矢の存在を確認してみたけど何も感じなかった
冬矢が滞在してるホテルに行く前に、チャイナタウンに向かった
「翔、力を」
「わかってる」
「はい」
翔も子供の頃から特殊な能力があった
大人達は誰も信用しなかったけど、俺達は信用していた
でも、その能力は時として凶器になる
パスポートを頼んだ奴らのアジトに向かい、ドアを開けた
「誰だ!」
「私の顔をご存じないとは」
「・・・・・・・・・・・・お前は」
「私が依頼したのはパスポートでしたね」
「あ、ああ」
「報酬も先に渡したはずです」
「そうだったかな・・・・うっ」
薄ら笑いを浮かべていた男の額に鉛の弾を撃ち込んだ
「や、やめろ!!撃つなっ!」
「あのさ、おじさん達の仕事は雑すぎなんだよ・・・・空港でかなりのお金が飛んで行ったんだよね」
「そ、それは・・・・偽造なんてそこまで・・・・・ぎゃ!」
「偽造の意味わかってる?」
翔がナイフで太ももを刺しながら尋ねた
「だから、ばれないように精密に・・・・」
「出来ていなかったよね?今なら聞いてあげる・・・・手を抜いたんでしょ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「どうなの?」
「は・・・・い、申し訳ありませんでした・・・・・お金は全てお返し・・・・ぎゃーーー!!」
「話は聞くとは言ったけど、許すとは言っていないよ」
一番痛みを伴う場所にナイフを突き刺して、止めを刺した
「翔、大丈夫ですか?」
「もちろん」
「では、行きましょう」
「うん」
そして今度は細い路地を入り、ネオンが点滅している店に入った
「冬矢の気配を微かに感じます」
「そうだね・・・・じゃ、やるよ」
「はい」
床に死んでいる老人に触れ、目を閉じた
そう、翔の能力は蘇生
子供の頃にも何度も見た
死んだ虫や動物に新しい命を吹き込む事が出来る
今思えば、信じてもらえなくてよかったのかも知れない
もし、この事を知られればきっと利用されるに違いないから
「ううっ・・・・・っ・・・・・・」
「目が覚めましたか?」
「お・・・まえは」
「天国など行かせませんよ?」
「俺は・・・・生きているのか?」
「ええ」
「あの時、殺されたと思った・・・・意識が途切れて・・・・」
「簡単には殺しませんよ?お前は私の大事な兄の命を奪ったのですから」
「ははっ、老人だとおもって油断したあいつが悪いんだろ?少しよろけた芝居をしたら素直に支えてくれたよ」
「・・・・・・・・・・・・・そうでしょうね」
「でも、拳銃を持っていたなんてな・・・・・何発撃ち込まれたんだ?」
「6発です」
「きちがいだな・・・・死んでいるのに撃つなんて」
「そうですね・・・・では殺さないように今度は気を付けます」
「何を言って・・・・・・ぎゃ!」
最初の1発は右腕
「や、やめろ!!」
2発目は左腕
「金なら・・・・・・・ぎゃー!」
3発目は右の太もも
「ううっ・・・・・っ」
4発目は左の太もも
「ひぃぃ!!狂ってる・・・・老人に・・・こんな・・・ぎゃぁー!」
5発目はわざと心臓を外した
「ううっ・・・・・殺さない・・・で・・・く・・・れ・・・・」
最後は・・・・・額に銃口を当てて微笑んだ
「楽には殺しませんよ?次は額だと思いましたか?」
「な・・・にを・・・・・・」
「額に撃ったら即死でしょ?」
「でも、出血多量でやばいかもね」
「なんでも・・する・・・・おねがい・・・だ・・・・・」
「まだ生に未練があるとは滑稽ですね」
「死にたく・・・・・ない・・・・・嫌だ・・・・」
「では、最後の1発は自殺用として差し上げます」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
拳銃を床に置き、背中を向けた
「馬鹿め・・・・・・・ぐはっ!!」
拳銃を拾う音と同時にそのまま投げたナイフは右目に深く刺さり、痛みでのた打ち回っていた
「そうそう・・・その拳銃には弾は5発しか入っていませんでした」
「ううっ・・・・・・っ・・・・・」
「最後の1発は俺だ!」
そう言って翔が喉に弾を撃ち込んだ
「・・・・・・・・・・・・・・・・和海、ごめん」
「こんな事に力を使わせてしまって申し訳ありません」
「いいんだ・・・・・・こんな事をしても無駄なのはわかってる・・・・でもっ・・・俺も悔しいよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
そういい残し、疲れ果てて気を失って倒れこんだ翔を抱き上げて店を出た
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