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次の日、燕羽が起きるのをぼんやり待っていた
俺達の考えが正しい事だとは言い切れない
でも、間違っているとも思えない
だけど、燕羽にとってどの選択が一番いいのかを考えると、やはりこうするしかないのだろう
「んっ・・・・・翔・・・・起きてたんだ」
「おはよう、俺も今起きた所だよ」
「そか、おはよ」
まだ眠そうな燕羽は目を擦りながら体を起こした
「ところでさ、お前って歳いくつ?」
「俺?」
「うんうん」
「んと、今19だよ」
「えっ・・・」
「ん?」
マジかよ
見えないし・・・・・てか、年上かよ
「翔は?」
「20歳」
「ホント?見えないね」
「・・・・・・・・・・そうか?お前も見えないけどな」
「あはっ」
そりゃね・・・・
ホントは17歳だなんて言えないし
「ねぇ、翔」
「ん?」
「ずっと考えていたんだけどね」
「うん」
「俺、仕事どうしよう」
「仕事か・・・・・」
「うんうん、だってこれからずっと日本に住むわけだし何もしない訳にもいかないし」
「そうだな・・・・・仕事なら和海に頼んでおくよ」
「わかった、何でもやるからさ・・・って!俺って国籍が日本じゃないんだけどどうしよう・・・・強制送還とか」
「安心しろ、お前の国籍は日本にしておいたから」
「えっ・・・そんな事が?」
「その辺は気にするな、だから今はもう少し新しい環境に慣れる事だ」
「うん」
きっと全て和海が手配してくれたと思うしね
「ちなみに翔はどんな仕事を?」
「俺は・・・・簡単に言えば毎日勉強をしている感じかな」
「すごいね!もしかして先生とか?」
「違うけど」
「そうなんだー」
学生だし・・・・・
嘘ではない
勉強も仕事のうちって言うしね
逆だっけかな?まぁ、どうでもいいや
まだ寝ぼけている方がやり易い
そろそろ始めるか
何気ない素振りでお香を焚き、ポケットから金貨のネックレスを取り出し、燕羽に見せた
「何だかいい香り・・・・それにその金貨すごく綺麗だね」
「だろ?もっとよく見てみろ」
「うん」
「じっと見ていろよ」
「うん・・・・・・・」
「目を離さずにじっと・・・・・じっと」
「・・・・・・・・・・・うん・・・・・・」
燕羽は素直すぎだな
あっさり催眠状態にかかってしまった
その後、今までの記憶を全て抜き取り新しい記憶を植え付けた
全て忘れさせるのは可哀相だけど、仕方が無い
お前はもう一度生まれ変わるんだ
「燕羽、燕羽・・・・・・・」
「んっ・・・・・うわっ、朝?」
「思いきりな」
「ごめんっ!翔、仕事は?」
「今日は休みだ」
「そうなんだ、じゃ遊びに行こうよ!」
「えーーーーっ」
「何?兄弟で遊びたくないの?」
「あのなー、兄弟だから遊びたくないんだけどね」
「ひどーーーーっ!!」
成功だな
よかった
「お前と二人で遊んでもなー」
「いいじゃん!可愛い弟でしょ?」
「可愛いね・・・・・・」
「むっ」
ごめん
つい、年上のお前を弟にしてしまったから罪悪感も多少はある
「じゃ、買い物でも行くか?」
「うんっ!何買ってくれるの?」
「はい?」
「俺、服が欲しいな」
「ったく・・・・わかったよ」
「やったー!」
完全に弟になりきってるし
それでいいんだけどね
そして二人で街に行き、たくさん買い物をした
服や靴、帽子にバック・・・・・遠慮と言うものがあるのかないのか
「少し休憩しようよ」
「だな」
さすがに疲れた
荷物は重いし、足も痛い
近くにあったカフェに入り、一緒にお茶を飲みながら話をした
「翔は恋人とかいないの?」
「いないね」
「なんで?」
「何でって・・・・理由はないけど」
「信じられない、翔ならすごくモテそうだし弟としては自慢の兄だよ?」
「和海なら変わり者の恋人がいるけどね」
「そうなんだ、何か聞いたような気もするし聞かなかったような気も」
「相変わらずぼけてんな」
「もうっ!」
何だか楽しい
兄弟ってこんな感じなんだろうな
兄弟か・・・・・・・
今になってやっと和海の辛さがわかったような気がした
俺だってすごく悲しいけど、和海の悲しさはこんなものじゃないはずだ
「そろそろ帰るぞ」
「わかったー!すごく美味しかったな、キャラメルラテ」
「そっか」
「初めて飲んだ感じがするけど変なの」
「やっぱりぼけすぎだな!病院に行くか?」
「あのねー!」
「冗談だよ」
「もう」
そのまま車に乗り、屋敷に戻って来た
なんだか疲れたけど、楽しかったな
「翔、お風呂入ろうよ」
「何でお前と」
「いいじゃん!兄弟なんだし」
「わかったよ」
確かに断る理由はないけどさ・・・・
仕方なくそのままバスルームに向かい、二人でお風呂に入る事にした
「はぁ~~、気持ちいいね」
「だなー」
「・・・・・・・・・・・はぁ」
「何?」
「いつも思うんだけど、どうして兄弟なのに似ていないんだろうって思うんだ・・・・もう少し翔のように綺麗な顔だったらよかった」
「お前は可愛いからそれでいいよ」
「まじで??」
「ああ、犬みたいだ」
「うーーー、わんわん!!」
「ばか、やめろって!」
「あははっ、やめなーい!」
いきなりくすぐられて溺れそうになった
ったく・・・・・でも、こいつってこんな風に笑うんだな
「どうしたの?」
「何でもない、そろそろ出るか」
「うん」
「髪を乾かしてやるよ」
「ありがとう」
体の所々に傷が付いていた
こいつは今までどんな生活をして来たのだろう
決して楽しくはない生活だったはずだ
「出来たぞ」
「喉渇いたね」
「何か飲むか?」
「コーラ!」
「オッケー」
コーラなんて無いっての!
さすがアメリカ育ちだな
部屋を出て、コーラを持ってくるように言い部屋に戻って焦った
しまった・・・・・冬矢の写真がそのままだった
「ねぇ」
「ん?」
「この人は誰?」
「こいつは親戚の人かな」
「すごく仲がよさそう」
「昔はね」
「今はどこにいるの?」
「どこかな・・・・旅行好きな奴だからさ」
「そうなんだ」
内心ヒヤヒヤしながら燕羽に尋ねた
「どうかしたのか?」
「ううん・・・・・でも」
「うん」
「何だろう、この人を見ているととても切ない気分になるんだ」
「へぇ」
「おかしいよね」
「でも、そういう事もあるかもな」
「なのかな?」
「余り気にするなよ?」
「うん、だって知らない人だし」
「そうだな」
知らない人か・・・・・
そう言って少し寂しそうに笑う燕羽を見つめ、小さな溜息をついた
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