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第15章―地に降り立つは黒い羽―5
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ラグエルは翼を広げながら宙を飛んだ。風をきる感覚と、空から見える地上の景色にハラリエルは驚きながら下を見下ろした。
「す、凄い……! 地面があんなに遠い! わぁっ、良い眺めだねラグエル!」
「ふふふっ。もしかして飛んだの初めて?」
「うん! こんな景色、ボク初めてだよ。空を飛ぶことは気持ち良いんだね?」
「ああ、そうだよハラリエル。本当はもっと飛んであげたいけど、彼に叱られるからやめとくよ」
「あっ、鳥だ! ラグエル見て、鳥達が飛んでるよ! わぁっ、綺麗……!」
「キミってせっかちだね。それともちょっと興奮してる? でも、キミが楽しんでくれてるみたいで嬉しいよ」
ラグエルは初めて空を飛んで驚いている彼を近くで見ながら、ちょっと呆れた様な優しい笑みを溢したのだった。少年は瞳の奥をキラキラさせながら、空から見える地上の景色に胸を踊らせながら楽しんでいた。
「ねぇ、ラグエル。あの白い壁の向こうには何があるの?」
「さあ、何かなぁ。キミが見た事がない世界が広がってるのかもしれないよ?」
「そうかぁ。ブレイザブリクの壁は高いんだねぇ…――」
「あの先に行ってみたいかい?」
ラグエルの言葉にハラリエルは動揺した。
「でっ、でも……。ラジエルに怒られちゃうよ」
「そうだね。キミをここから連れ出したらボクが彼に大目玉を喰らうよ。あいつって見かけによらず怒ると怖いよね」
「ラ、ラグエル……!」
「ふふふっ」
彼の冗談にハラリエルは困った顔で慌てた。そんな仕草がラグエルには可愛く思えた。空中散歩を満喫すると、彼はハラリエルを両腕の中にしっかりと抱きしめたまま、目的地へと降り立ったのだった。そして、大きな林檎の太い木の枝に2人は座るとそこから広い景色を仲良く眺めた。ラグエルは近くにあった林檎をもぎ取るとそれをハラリエルに手渡した。
「はい。あげる」
「あっ、ありがとう…――」
「食べてごらんよ」
「うん……!」
貰った林檎を一口かじると、ハラリエルは驚いた。
「この林檎甘い……!」
「だろ?」
「うん!」
「あーあ。食べちゃったね?」
「えっ……?」
「この林檎の木は、あのじーさんのお気に入りの木らしいよ?」
「えっ!?」
「つまりキミは、あのじーさんの林檎の木を勝手に食べちゃったってこと」
「うっ、うそ……!?」
「あははっ! なんて今の冗談だよ。キミって何でも本気にするんだね?」
そう言ってラグエルは隣で意地悪そうに笑った。
「ひどいよラグエル……!」
「でも、その林檎は美味しかっただろ?」
「うっ……!」
ハラリエルはそう言われると、たしかに美味しかったと感じた。
「この林檎の木、この前みつけたんだ。って言っても、キミが寝てる時にね? だからキミが起きたら、この林檎の木を教えてあげようと思ったんだ」
ラグエルは隣でそのことを話すと林檎を一口かじった。
「ねぇ、きみはいつもボクが寝てる時に来てるの……?」
「ああ、そうだよ。だってキミがいつ起きるか分からないし――」
「そうなんだぁ……」
ハラリエルはその話を隣で聞くとジッと彼を見た。
「何?」
「うんん。何でもない……」
「そう――」
「遊びに来てもボクが寝てたら、ラグエルは退屈じゃない?」
「ふふふっ。そうだね、退屈かもね。でも、色々と楽しませてもらってるよ?」
「えっ……?」
「キミの寝顔を見てるとね。つい"アレ"をしたくなるんだ」
「あ、あれ……?」
「そうアレだよ。わかるかい?」
ラグエルは隣でそのことを話すと、ニヤッと笑った。
「なっ、何……?」
「知りたい?」
ハラリエルはその意味深な言葉に息を呑んだ。
「ラグエルあれって何……? ボクが寝てる時――」
疑問に思うとラグエルに尋ねた。すると、彼の右手が頬に触れた。
「キミの寝顔は可愛い。だからそのせいか、ボクはこっそりキミにあれをしたくて堪らなくなるんだ」
「ラ、ラグエル……?」
「ふふふっ。何かわかるかい?」
怪しくそう話すと、ハラリエルは急に慌て出した。
「わ、わからないよ……!」
「じゃあ、知りたい?」
「えっ……?」
「でも言ったら、キミはボクに軽蔑するかも――」
「えっ……? けいべつ……?」
「そう。知りたくて堪らないだろ?」
「ラ、ラグエル…――?」
彼は頬に触れるとジッと見つめた。その眼差しにハラリエルは、びくっと体が反応した。
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