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番外編―偽りの仮面―ケイバーside。1
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長い山間の道を馬車がゴトゴトと、鈍い歯車の音を立てて通り過ぎた。護送用の馬車には一人の若い罪人の男が乗っていた。両手に手枷を嵌めて彼は暴れる事もなく大人しくしていた。そして、外の窓を見ながら大きなアクビをして、暇そうな顔で外の景色を眺めて呟いた。
「おい、まだ着かないのか~? 暇で退屈だ。アンタ何か喋ってくれよ、な?」
「うるさい、口を閉じてろ!」
「何だケチ臭い奴だな、ヘイヘイ。んじゃ、着いたら起こしてくれ。俺は寝てるからさ」
黒髪の若い男は余裕の表情でニヤッと笑うと、堂々と馬車の中で寝こけた。今から罪人として牢獄に入れられるというのに彼は妙に落ち着いていた。側にいた2人の看守は目の前にいる男に息を呑んだ。彼の罪は重かった。凶悪な大罪人として懲役500年の刑を言い渡された。この時点で彼がいかに、凶悪かを物語っていた。目の前にいる罪人の彼を見ながら2人の看守は緊張した顔つきで無言で口を閉じて早く牢獄に就くのを願った。そして、囚人を乗せた馬車はやがて目的地に着いた――。
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