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第20章―消せない罪―10
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「肉ヲくれ! 新鮮な肉を! お前ノ肉ヲ全部喰わせろぉおおおっっ!!」
無数のグールの群れが一斉に彼に襲いかかった。怪物達は鋭い爪と牙を剥き出した。ラジエルは、持っている本を瞬時に開くと呪文を唱えて手のひらを前に向けた。すると、瞬く間に緑の疾風が彼らの肉体を切り裂いた。
『ギヒャアアアアアアッッ!!』
飛びかかったグール達は、見えない風の刃で身体中を切り裂かれた。地面には細切れに切り裂かれたグールの死体が散乱した。ただの人間じゃないことがわかると、グール達はざわついた。
「アイツ人間じゃない…! 人間じゃないぞ…!」
「今マホウを使った…! それにこのニオイ、フツウのニンゲンじゃないぞ…――!」
グール達は動揺するとラジエルを目の前に困惑した。
「ヤツはニンゲンじゃない…! きっと天使だ…! |天族《フォーリア》だ…――!」
「|天族《フォーリア》、忌まわしき天使ッ! 我らの憎むべき敵だ! 奴らを生かすな、殺せ!」
「天使ノ首ヲ切リ落トシ、サタン様ニ献上ヲ…!!」
群れの中に一際、背の高いグールがいた。その怪物はリーダー的な存在感を放っていた。背の高いグールは長い手足を持っていた。他のグールと並んでも異様に目立った。背の高いグールは周りにいた仲間にそう話すと、ニタリと不気味に笑った。
「お前達よく聞け! 天使の血は人間よりもウマい! 天使の血を飲めば強くなれる! とくに聖天使の血だ! あの中に聖天使がいる! あの聖天使を殺さずに生け捕れ!」
リーダーらしきグールは、ラファエルの方を指差すと仲間に命令を仕向けた。生き残ったグール達は、ラファエルの方へと一斉に飛びかかった
『そうはさせるかっ!!』
ラジエルは再び呪文を唱えると本を片手に魔法を撃ち放った。ラファエルの方に向かって行ったグールを一掃するとグールの親玉と一騎討ちを始めた。
「醜悪な姿をした醜い怪物どもめっ!!お前らの相手はこの私だ!!」
親玉のグールは彼の挑発に敵意を向き出すと、長い手足を使いながら荒々しく攻撃した。拳を地面に打ち付けると地面は激しくめり込んだ。普通の人間がこれを喰らったらひとたまりもない。だが、ラジエルはその攻撃を鮮やかな動きでかわした。親玉のグールは、ラジエルの早い動きに翻弄されながらも敵対心を燃やした。
『うぉおおおおおーーっっ!!』
「己、忌まわしき|天族《フォーリア》め! 貴様の生き血を全部、吸い付くしてやる!」
親玉のグールは拳を振り上げ地面を割り砕くと、回し蹴りをした。長い足が彼の身体を蹴り飛ばすとラジエルは大きな木に背中から叩きつけられた。
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