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番外編ー首斬り男ーギュータスside。2
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ーーあの日は、あいつの命日だ。そして俺が初めて人を殺した日だ。
忘れもしねぇ。あのケバい満月を思い出すたびに俺はあの感触を忘れはしない。あの時、でかい斧でジジイの首をうしろから一思いに跳ねた瞬間。俺は全ての柵から解放された。
何より、あのジジイにもう二度とイビられなくて済むと思ったら胸の中がスッとした。そして、俺はジジイを殺したあと、あの家を出た。それからあとはよく覚えていない。
数年間さ迷ったあげく、俺は気がついたらコロシアムで賞金稼ぎをして生活していた。もうその時には、人の心なんてのはなかった。あるのは非道な残忍性だけだ。それが俺自身を変えていた。
毎日、人を殺しては斧で首を跳ねた。そして、観客は俺のパフォーマンスに会場を湧かせた。
そこはまさにイカれた世界だ。
正常なんてものはい。殺るか、殺られるかの世界だ。
そんなドブのような掃き溜めの場所に、俺は血染めの斧男としてそこに存在した。
俺に帰る場所なんてのはなかった。
一層、そこに居心地さえ感じていた。
イカれたあの場所が俺の帰る場所だ。
そう、あいつに会うまでは――。
クロビス。あいつに逢って俺の人生は変わったんだ。
コロシアムで名を馳せた血染めの斧男。
それは俺にとっては、もう過去だ。
今は一人の主君に使える哀れな下僕だ。
冷酷で残忍で美しい存在。俺はそんなあいつにどこか惹かれていた――。
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