アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
第6章―竜騎兵―3
-
若い男は酔った勢いで酒の瓶を床に落とすと、ジャントゥーユに絡んだ。
「生憎だがここにはキャンディーなんか売ってねぇぜ。欲しかったらお前のママをここに呼んで来いよ、俺がお前のママンにぶっといキャンディーを舐めさせてやるからよ!」
男はそう言うと自分の履いてるズボンのベルトを緩めると、下半身を露出して彼に押しつけた。
「どうせテメェのママはヤリマンだろ? 旦那に隠れて他の男とやってるようなアバズレの魔女なんだよ、テメェのママを四つん這いにさせてアソコに俺の肉棒を突っ込んでバックから犯してやる!」
男がそのことを言うと周りにいる男達が「そーだ そーだぁ!」と悪のりしながら騒ぎたった。彼は獣のような目付きになりながらそのことを言い放った。
「なんなら気味が悪い顔のテメェとカマ掘りしてもいいんだぜ?」
彼は酔った勢いでフザケ半分にそのことを言うとバカにしたのだった。ジャントゥーユは男を無視すると、隊長を呼んで来いと命令した。すると再び男は茶化してきた。
「ハルバート隊長を呼ぶまでもねー! テメェなんか俺がカマ掘ってやるぜ!」
彼がそう言うと、周りは再び騒ぎ出して煽った。
「やっちまえスティング! クソ野郎の看守なんか犯してやれ!」
周りは瓶を投げつけながらさらに酔って騒いで煽った。男がいきなり彼に向かって襲いかかると、ジャントゥーユはニタリと笑った。そして、鋭利なナイフを彼の下半身にブスっと突き刺したのだった。鈍い感覚のあとに下半身に突如、激痛が襲いかかった。
『ギャアアアアアアアアアアアッ!』
突然の激しい痛みに彼は大きな声を出して悲鳴をあげると、床にのたうち回って絶叫した。ジャントゥーユはその光景を首をすこし傾げながら、壊れた人形のように眺めたのだった。自分の下半身から大量の血が溢れ出すと、彼はパニックを起こしながら喚き声を上げた。酔いが一気に覚めると、周りは一瞬にしてシンと静まり返った。背筋が凍りつく様な異常な状況の中で彼が喚き声を上げて床でのたうち回ってると、ジャントゥーユは彼の目の前にしゃがむと再び話した。
「隊長を呼んで来い……早く呼んで来ないと……次はお前の目玉を抉り抜くぞ……?」
ジャントゥーユは不気味な表情でニタリと笑うと、男の頭を鷲掴みした。
「呼ぶか……呼ばないか……どっちだ……?」
彼のイカれた行動に周りは一斉に野次を飛ばすが、ジャントゥーユは彼の目の前にナイフを翳してチラつかせた。そして、激しい痛みに体中をガタガタと震わせながら恐怖に怯えた声をあげたのだった。その光景を近くで見ていた2人の男が、なにやらボソボソと会話を始めた。
「おいおい、何なんだよアイツ……!? 頭イカれてるぜ……! スティングの下半身をあのナイフで刺しやがった! 正気じゃねーぞ、誰か今すぐハルバート隊長を呼んで来い!」
誰かがそのことを言うと、1人の男が隊長を呼びに奥の部屋へと慌てて入って行った。
ジャントゥーユは恐怖に怯える男を目の前に、ニタニタしながら笑っていた。彼にとって人を殺す事は簡単で容易かった。それこそ戸惑いすら感じないほどの純粋な悪に満ちていた。
「あの男は一体、何なんだよ!? まともじゃねぇぞあの看守……!」
誰かがそのことを言うと、髭を生やした男が震える声で話した。
「あれはもしかしらイカれた連中の1人かも知れない……! ここのご子息は、幼い頃から心の病に冒されていて、おかしな連中を引き連れてるって前に噂では聞いてたけど、ま、まさか、あいつらじゃねーよな…――?」
髭を生やした男がそのことを言うと、凍りついた表情で体を震わせた。ジャントゥーユに下半身を刺された若い男は床の上で激しく痙攣を起こすと、出血多量が原因で外傷性ショック死を引き起こしたのだった。そして、間もなくして床の上で息をひきとった。さっきまで絶叫して喚いていたのに、もう彼が喚くことはなかった。叫び声に耳を塞いで体を震わせていた周りも、彼が急に静かになった途端に塞いだ耳から手を離したのだった。切り裂くような彼の断末魔の叫び声はまるでこの世の声とはおもえないほどの苦しみに満ちた声だった。彼がようやく静かになると、近くにいた男が彼のもとに駆け寄って恐る恐る声をかけた。
「おっ、おい……! スティング返事をしろっ……!」
そう言って声をかけると、両手で体を揺すった。でもいくら揺すっても、彼が起きることはもう二度となかった。まるで眠っているようだった。彼の苦しみの声を聞かずに済んだと思う反面、周りは彼の死に困惑した。男は彼が死んでいることを確認すると、腰が砕けたかのようにうしろの地面に両手をついて倒れた。
「し、死んでる……! スティングの奴、死んでる! 死んでるぞっ!」
彼はスティングの死を間近で確認すると、体を震わせながら恐怖に怯えた声をあげた。男が騒ぐと部屋の奥から、いかつい体格の隊長らしき人物が現れた。
「うるさいぞお前ら! さっきからなに騒いでやがる、静かにしろ!」
男は騒々しいと言って怒鳴ると、部屋の奥から若い女を連れて現れた。彼の上半身は裸姿だった。その下は黒い長ズボンを履いていた。女は白いシーツを肌にまとっているだけで、他には何も身につけていなかった。隊長らしき男は女を無理やり連れてくると、手荒い感じで床に座らせた。女は男に手荒く扱っても抵抗すらしなかった。まるで魂が抜けた人形のように彼女の顔には表情がなかった。彼女がここで男達にどんなめにあわされていたのかは、すぐに想像がついた。
隊長らしき男は見た目は、30代くらいだった。いかつい体格に付け加え、髪は茶髪で瞳は青かった。野性的な魅力を持つ彼は、ハルバートと呼ばれていた。そして、竜騎兵の彼らを一つに纏める隊長だった。だが、輝かしかった過去の栄光は過ぎ去り今は廃人のようなロクデナシの男になった。彼を見た限り、かつて戦場で栄光と名声を欲しいままにしてきた者とは思えないほどに酷く変わり果てていた。廃人のようになってからは、酒と女と薬に溺れた。何を彼をそうさせるのか。彼は虚ろな瞳で酒と女と薬を求め続けた。もうそこには、かつての輝かしかった自分はいなかった。ただ腐った肉の塊のように彼自身が腐敗したかったのかもしれない――。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
33 / 211