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第8章―吹雪の中の追跡―4
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「ああ、そうだ! お前に一つ言っとく!」
「何だよハルバート?」
「お前から貰ってるアレあるだろ?」
「ああ、あの例の薬か――?」
「この前貰ったアレの効き目が凄すぎて、おかげで俺のお気に入りのオモチャが1人死んじまった」
「ハッ? おいおいマジかよ? 冗談だろ?」
「ああ、こっちもあの薬の効果には驚かされたぞ。アレ飲んだあと3日も寝ずに女とヤりまくったら、女の方が体力持たなかったらしく、最後は泡を吹いてあの世に逝っちまった」
ハルバートがその事を話すと、ケイバーは顔をひきつらせた。
「しかもアレを一度飲むと、効果がなかなか消えねぇーからまいった。あんなに性欲が爆発したのは、自分でも久しぶりだったぜ。女と何回もヤりまくっても、俺の性欲は解消されなかった。それどころかまだまだ足りないくらいだったぜ。もうあの薬はいらないから二度と渡してくるな。ついでにあのおかしな魔導士にも言っとけ!」
ハルバートはそう言うと釘をさした。
「おいおい、何だよ? アレはお気に召さなかったのか? お前が飲んでるアレとは格別だったろ? それに効果が抜群に大きいのが欲しいって言ったのはお前だろ。俺がアイツに頼んで特別に作らせたんだぜ。悪友からのプレゼントは最高だったろ?」
「最高なわけあるか! 俺まで殺す気か!? だったらお前もアレを一回飲んで見ろ! アレをきめたら3日間、SEX地獄だぞ!?」
ハルバートはそう言って後ろを振り返ると、ジロッとケイバーを睨み付けた。
「確かもう一本残ってたはずだ。お前にもそれをくれてやるから飲めよ。お前も一度体験してみればわかる。アレがどんなに凄いかをな!」
「あのなぁ、何も試さなくても話を聞けば何となくわかる。だから俺はお前に、アレをいっぺんに2本も飲んだらあとで大変なことになるって忠告したんだよ。つーか、精力増強剤何て必要か?」
ケイバー不意にその事を話すと、ハルバートは慌てて怒鳴った。
「バカ! こんな所でソレを口に出して言うな! あいつに聞かれるだろ!?」
「ん、あいつって誰だ?」
「あそこのポニーテールの金髪野郎だ!」
「ああ、リーゼルバーグか~?」
「ゴホン、そうだ……!」
「仮にも俺は元竜騎士だ。こんな廃れた奴でも、一応プライドはあるんだよ! ましてや同僚にそれを聞かれたら俺のメンツに傷がつくだろ!? もしあいつに笑い者にされたらテメーをハルシオンで切り崩してやる!」
ハルバートがそこで威圧しながら話すと、ケイバーは顔をひきつらせて苦笑いを浮かべた。
「それにアイツにも聞かれるだろ……!? 坊っちゃんにその事が知られたら、俺としては非常にまずい! 今でさえ口を聞いてくれないのに、そんな事が知られたらもっと口を聞いてくれなくなるだろ!?」
ハルバートの焦り具合にケイバーは笑いを堪えて頷いた。
「まあ、確かにそれはあるかも。ギュータスは、クロビスの忠犬だからな。気をつけないと何でもかんでも報告するぜ。アイツはそう言う奴だから」
ケイバーはそう言ってギュータスの方にチラッと視線をむけると、再び耳元でヒソヒソと話した。
「それに俺だって正直、自分の性欲にはまいってるんだ。お前にわかるか、俺のSEX依存症の苦しみが!? わかるなら今すぐ言ってみろ!」
ハルバートが赤裸々に自分の悩みを打ち明けると、ケイバーは顔をひきつらせながら答えた。
「絶倫のなれの果てって奴か…――。すまんがお前のその性欲の悩みには、俺は同情することしかできん。まあ、薬中の依存症よりかはマシだな?」
ケイバーは滑稽に思いながらその事を言い返した。
「もしかして精力増強剤ってアレをいっぺんに解消する為に飲んでるのか?」
興味本意な質問にハルバートはそこで舌打ちをしてみせた。
「だったら何だよ。お前が俺のモヤモヤとムラムラをいっぺんに解消してくれるって言うのかよ? 俺はこの何年間、SEX依存症にかかって自分でもムチャクチャ呆れてるんだよ!」
そう言って突然怒鳴り声を上げると、周りにいた部下達が一斉に注目した。
「ハルバート隊長どうしました!? 囚人がみつかりましたか!?」
部下の質問にハルバートは再び舌打ちして怒鳴った。
「うるせぇ! 俺のことは構うな、今は任務に集中していろ!」
そう言い返すと部下は再び任務に集中したのだった。
「大体お前がアレを怪しく渡してくるから、リーゼルバーグのやつが勝手に俺のことをジャンキーだと決めつけて困ってるんだよ。言っとくがな、俺はヤバい薬とかは手は出してないからな! 俺がキメてるのは精力剤とかだ! なのに奴は俺が麻薬とかに手を出してると思って勝手に勘違いしてやがる! ホントにムカつくぜ!」
ハルバートはそう話すと舌打ちをしながらリーゼルバーグの方を睨んだ。
「確かに俺は落ちぶれてるが、ヤバいモノに手を出すほど落ちぶれてねーからな! 一層のこと俺が部屋の中に隠し持ってる精力剤の山をアイツに見せてやりたいぜ!」
「はははっ、マジで絶倫魔王じゃねーか……。お前のそれ病気に近いぞ?」
「あぁん? だったらなにか? そう言うお前こそ病気だろ。俺は知ってるぜ、お前が強姦魔の極悪人だってことをな!」
その言葉にケイバーは、ククッと可笑しそうな笑いを浮かべた。
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