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第9章―ダモクレスの岬―4
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「おいおいおたくら、張り切りすぎてる所をわるいけど、本気で突っ込もうとかバカな事は考えていないよなぁ? まさか本気で突っ込む気か?」
ケイバーの質問にリーゼルバーグは答えた。
「ほかに案があるなら聞いてやる。無いならそこで黙っていろ!」
彼がそう言い返すと、ギュータスが笑いながらケイバーに話しかけた。
「やっぱりお前はチキン野郎だな。そんくらいでビビってちゃ、四天王とは言えないぜ。なんならアイツにお前がビビってたことをあとで報告しておいてやる」
「誰がチキンだ! 俺はまだ早死にしたくないだけだ! お前達、もっと冷静に考えろよな! それに前髪が崩れたらどうしてくれるんだ!?」
ケイバーが早口言葉でまくし立てると、ハルバートは一言いい返した。
「今さらビビっても仕方ねえだろ!? 男なら度胸をみせろ! 行くぜリーゼルバーグ! ヴァジュラ、あの風を突き破れ!」
ハルバートはヴァジュラに掛け声をかけると、勢いよく竜と共に前に突進して行った。リーゼルバーグは直ぐにリューケリオンに命令をすると、彼と共に勢いよく前に突き進んだで行った。部下達はその光景を離れた場所から見ると、2人の安否を心配したのだった。オーブの力で放たれた風の魔法は直ぐに2人の前に見えない壁の様に立ち塞がった。強烈な風の威力を真っ向から受けた2人は互いに自分達の竜に命令した。
『押し返せヴァジュラ! 風を突き抜けろ!』
彼の命令に竜は直ぐに従った。上空で大きく羽を羽ばたかすと、風の力を押し返しながら前に突き進んだ。ハルバートはケイバーに大きな声で話しかけた。
「さあ、ここからが大変だ! 風に吹っ飛ばされないように、しっかりと俺に掴まってろ! 途中で吹っ飛ばされても拾いには行ってやらないからな!?」
「ふざけんな、この状況で吹っ飛ばされてたまるか! 何でもいいから早く突破しやがれっ!」
ケイバーは後ろで怒鳴ると感情を高ぶらせた。
『じゃあ、行くぜぇっ!!』
風は真っ向から2人を押しかえしながらも、竜巻のような柱をそこで発生させると急に2人の前に襲いかかって来た。風は物凄い威力で2人を一気に呑み込んだ。風の中に呑み込まれると、風は容赦なく彼らに襲いかかった。
「クッ……! さすが魔法石のオーブの力だ! このままでは、体を空中でバラバラにされてしまうぞ! リューケリオンこの魔法を#飛翔の隼__ひしょうのはやぶさ__#で一気に突破するのだ!」
リーゼルバーグが命令すると、リューケリオンは嵐のような竜巻の中を素早い早さで一気に駆け抜けた。それと同時にハルバートもヴァジュラに波涛の円舞(はとうのえんぶ)で一気に駆け抜けるように命令した。竜は風の流れを読みきると、凄まじい竜巻の中を素早い早さで駆け抜けた。ハルバートとリーゼルバーグは、大きな声を上げながら叫んだ。
『いっけぇええぇぇえええッツ!!』
二匹の竜はその掛け声と共に、強力な風の呪文を見事に撃ち破った。
見えない強力な風の壁を撃ち破ると、彼らは中へと侵入した。風は今だに嵐のように周囲に吹き荒れていた。待機していた部下達は、2人が竜巻の中に呑み込まれた所を最後に目撃して見失った。そして、風は嵐のように大きな渦をまいていた。それはまるで周りを結界のように囲んでるようにも見えた。部下達は一歩も近づくことも出来ずに、そこで見守っていることしか出来なかった。ユングは2人の安否が気になった。
「ハルバート隊長とリーゼルバーグ隊長は一体どうなったんだ!? まさかあの嵐の中で……!?」
ユングは突然焦ると、顔を色を一気にかえて沈黙した。部下達が心配している頃、ちょうど彼らは嵐の中を果敢に突破して見えない風の壁を撃ち破っていた。彼らは風が囲んでいる結界の中に入ると、直ぐに体勢を立て直した。
『よっしゃあーっ! 突破成功だぁーっ!』
ハルバートはそこで思わず、大きな声を出して右手でガッツポーズを決めた。そして、ケイバーに話しかけると後ろを振り向いた。すると彼の前髪がとんでもない事になっているのに気がついた。
「お前、前髪が凄いことになってるぞ? いつからそんな髪型になったんだ?」
「うるせぇ、誰のせいだ! 誰の!? よくも俺様の髪型をメチャクチャにしてくれたな! あんな無謀なことするなんてどうかしてるぜ! マジ最悪だ!」
彼は怒りを露にするとハルバートを頭の中で100回殺した。リーゼルバーグは直ぐに声をかけた。
「おい、2人とも何をやっている! 話してる暇はないぞ! 早く囚人を捕まに行くぞ!」
彼の呼び掛けにハルバートは直ぐに頷いた。
「ああ、そうだ! 奴に鬼ごっこはここまでだって事をわからせてやるさ!」
ハルバートは自分の竜に合図を送ると、囚人が逃げている方角に向けて全速力で飛ぶように指示を出した。リーゼルバーグも自分の竜に合図を送ると、二匹のは頷くと直ぐに翼を大きく広げて速度を上げて飛び始めた。冷たい雪が降る中、脱走した囚人は行き絶え絶えに必死で逃げていた。無我夢中で走りながら咄嗟に後ろを振り向いて確認すると、彼らが後ろから接近してくるのが見えた。囚人は相当焦っているのか、雪の上で足をとられて躓いて倒れた。その瞬間ハルバートはチャンスとばかりに急接近を試みた。
「よし、今がチャンスだ! ぜってぇ、捕まえてやる!」
ハルバートはその場で意気込んだ。ケイバーは後ろで相づちをすると「ああ」と返事をした。そして、背中に背負っているボウガンを片手で取り出した。
「逃げた野郎には俺が直々で落とし前をつけてやる! 奴のせいで今日は散々な一日だったからな、もうこうなったら只じゃおかねぇぜ!」
ケイバーは両手でボウガンを手に持つと、構えて狙いを定めようとした。
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