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第10章―決着の行く末―2
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「チッ、どいつもこいつも生温くてしょうがねぇ奴ばかりだ! 生かすとか殺すとかウダウダ言いやがって……! そんなら俺が白黒つけてやる! 邪魔な奴は即刻排除で、ムカつく奴はぶっ殺せば結果オーライだろぉっ! 囚人、テメェは今ここで裁いてやる! 何せ俺は命を奪うことに何の躊躇いも感じない、非道な男だからな!」
ゲンマグレンジゴクエンゲツリン
『幻魔紅蓮地獄、円月輪! 逝っちまいな――!』
ケイバーは怪しさを秘めながらニヤリと笑うと、自身の秘められた力を瞬時に解放した。そして、躊躇いも無しに大胆に攻撃を仕掛けた。円形状の赤い刃を掌から召喚するとそれを勢い良く投げつけた。円形状の赤い刃は鋭く回転しながら囚人の方に向かって切りつけるように襲いかかった。
『うわぁあああああああああっ!!』
鋭い刃が回転しながら襲ってくる光景に囚人は恐怖に怯えると、そこで思わず声を上げて叫んだ。ハルバートは咄嗟に体が動くと、彼の前に庇うように立ちはだかった。そして、円形状の赤い刃を持っている斧で間一髪のところで食い止めて見せた。ハルバートが斧で技を受け止めると、ケイバーはチッと舌打ちをして顔を歪ませた。
「このっ、テメェ……! やっぱり普通じゃないな!? あの怪物野郎といい、お前といい、その並外れた力は普通じゃないぞ!」
ハルバートは急に何かを感づいたように、思わず声に出して言い放った。彼のその言葉にケイバーは突然、怪しくニヤッと笑った。
「バレちゃあ、しょうがねぇ。でも、これだけはさきに言っといてやる。俺達も同じだぜ。ただちょっとばっかし造りが違うけどな!」
そう言って意味深な言葉で言い返すと、さっきよりも技の力を強めて見せた。
「ほら受けきってみろよ! でなきゃ、どっちかが死ぬぜ!?」
「ッツ……!」
「血飛沫を散らすのはどっちだ? お前か、それともそいつか? 頑張らないと2人とも切り刻まれるぜ?」
ケイバーはそう言いつつも、徐々に力を上げた。
「チィッ!」
ハルバートは後ろに一歩押されると、再び斧で相手の技を押し返した。
『くっ、ぬぁあああああああああっ!!』
その瞬間、両腕に力を一気に込めると斧で技を弾き返した。ケイバーはそこで目を細目ると、舌打ちして狂気の顔を浮かべた。
「ははっ、さすが竜騎兵の隊長さんだ。そんな簡単にヤられたらつまんないからもっと俺を楽しませろよ?」
彼はそう話すと、ハルバートをさらに挑発してみせた。
「舐めてんじゃねーぞ、小わっぱが! 調子こくのも程ほどにしやがれ! 俺を誰だと思ってる! 俺はテメェなんかに簡単に殺られるような玉じゃねぇぞ! 百戦錬磨で戦って生き抜いてきた俺様を舐めてると死ぬほど後悔させてやる!」
ハルバートは威圧しながら言い返すと、雪原に斧を突き刺して、両腕を組んで仁王立ちして睨み返した。
「フッ、おもしれぇ。少しはアンタと本気でやり合えそうだ。そっちこそ、俺をただの看守だと思っているなら死ぬほど後悔させてやるぜ!」
ケイバーは再び円月輪の技を掌から繰り出すと、今度はそれを宙の真上で複数に増やした。
「こうなった以上は纏めてぶっ殺してやる! 死んじまっても悪く思うなよ!」
そう言って掌から無数の円月輪を放つと、躊躇いも無しに猛攻撃を仕掛けた。刃は鋭く回転しながら彼の方へと襲いかかった。ハルバートは地面に突き刺した斧を抜き取り手に持つと、そこでついに本気をみせた。素早く斧を振り上げると、向かってくる赤い刃を全力で弾き返した。
『ウォオオオオオオオオオッツ!!』
弾かれた赤い刃は、再びブーメランのように戻って、彼に襲いかかってきた。ケイバーはその光景をニヤリと笑いながら可笑しそうに笑った。
「はははっ! どうだ、俺様の幻魔紅蓮地獄の威力は!? 普通の人間だったら一溜まりねぇのがこの技の恐ろしさだ! 今までこの技で、ザコ野郎どもを散々切り刻んで始末してやったけど、この技を弾き返したのがアンタが初めてだ! 一応、褒めてやる! でもなぁ、まだまだ地獄を見るには甘いんだよ! 本当の地獄を見るのはこれからだ!」
ケイバーは手を翳すと、そこで円月輪の動きを自由自在に変えてみせた。
「俺はなあ、思い通りに力を自由自在にコントロール出来るんだ! 指先一つで命令すれば、どんな方向にも簡単に変えられる! つまりテメェには、一瞬たりとも隙はないってことだ! じゃあもう一度、円月輪を喰らいやがれ!」
強気な姿勢でそう言い放っと、再び円月輪を彼の方に向けて攻撃を仕掛けた。ハルバートは舌打ちすると、再び斧を振り上げて技を弾き返した。
「てめぇがそっちのを相手にしている間にな、俺はもう片方の手から繰り出した円月輪(こいつ)で囚人のヤツをぶち殺してやるぜ! ハルバート、てめぇはムカつくから後回しだ!」
ケイバーは左手から円月輪を繰り出すと、わざと囚人の方に向けて襲わせた。
「さあ、どっちを守るか今すぐ決めろ! テメェの身か、それともそこの囚人の命か! 命の炎を燃やすだけに生きてる実感があるだろ! 俺は、その命を刈り取って喰らい尽くしてやる!」
ハルバートはその一言に瞳を鋭くさせた。
右手で無数の円月輪を自由自在に操り、ハルバートを襲い続けると、もう片方の手で円月輪を囚人に向けて放った。左手から繰り出された赤い刃は高速で回転しながら囚人に向かって襲いかかった。
「――ったく、性格破綻者の悪党になにを言っても無駄なようだな! そんならこっちも本気ってヤツを見せてやる!」
そこで斧に秘められた力を瞬時に解放すると、斧は突然、黄金色に光輝いた。
ライジンオウギ ダイチダンレツ レップゥ ハザン
『雷神奥義、大地断裂烈風覇斬ッツ!!』
地面に向かって斧を振り下ろすと、その瞬間にして大地に亀裂が走り、その間から雷の柱が無数に走り抜けた。そして、周りにある障害を全て爆風で弾くと、雷の柱は凄まじい勢いで彼がいる足下を崩壊させて電撃の一撃を喰らわせた。
『ぐあぁああああああああああっ!!』
雷の威力にケイバーたまらず声をあげた。ハルバートはそこで持っている斧を地面に向かって放り投げると、そのまま彼の方へと素早く走り出した。ケイバーはヨロヨロとした足取りで立ち上がると口から血を流した。
「や、やりやがったなテメェ……! 今のは痺れたぜ! チッ、ますます面白くなってきやがった…――!」
ケイバーは口から血を流しながらも強気な姿勢をみせた。ハルバートは右手に力を込めると、そこで思いっきり殴りつけにかかった。
『お前を秒殺でマットに沈めてやる! これでも喰らいやがれ! 獣拳秘孔奥義、咆哮波動拳! ウォオオオオオオオオオオオッ!!!!』
力のこもった雄叫びを上げると、獅子奮迅の如く怒濤の勢いで拳を連弾にして繰り出した。そして、一気に畳み掛けるように最後の一撃で彼の急所を勢い良く突いた。その瞬間、拳を大きく振り上げると、ケイバーはそのまま勢い良く後ろの方へと弾き飛ばされた。そして、雪原の上に仰向けになって倒れ込んだ。
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