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第12章―残骸のマリア―1
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――囚人の捜索が行われる中、一人の男は部下を引き連れてある所に向かった。狭い通路を抜けると、そこはどこか重苦しい雰囲気が漂っていた。鉄の扉を開けると中は冷たかった。そして、どこか血生臭い感じもした。彼が向かったのは、拷問部屋だった。普通の看守でさえも、そこには立ち寄らない場所だった。部屋の通路は不気味な飾りで彩られていた。壁には奇妙な絵が何枚か飾られていて、その絵はどれも、人が拷問されている様な絵ばかりだった。通路のわきには鎧の人形が何体か飾られていて、どれも年代物の様な雰囲気があった。そして、通路の壁際には一列に怪しい扉が並んでいた。そこはまさに拷問部屋だった。部屋の中は薄暗くて、人がいる気配はない。だが、何かの気配を感じずにはいられない程の不気味で禍々しい雰囲気に辺りは包まれていた。男は部屋の一番奥まで突き進んだ。そして、その扉の前に立ち止まると部下に尋ねた。
「ここか――?」
「は、はい……! 確かこの部屋で間違いないです…――!」
「そうか」
部下は彼の質問に答えたながらも、今すぐ逃げ出したい気持ちを堪えていた。男は部屋の扉に手をかけると、両手で扉を開けた。両手で扉を開け放つと、彼の視界に衝撃的な光景が飛び込んできた。その光景に思わずゴクリと息を呑んだ。目の前には、オーチスが椅子に座らされたまま絶命していた――。
「っ……! こっ、これは…――!?」
リオファーレは目の前に広がる残酷な光景に、言葉を詰まらせた。オーチスは椅子に座らされたまま死んでいた。どうみても彼が生きてるとは思えなかった。椅子の周りは血で覆い尽くされていた。まるで血の池のように床一面に血の海が広がっていた。頭からは大量の血が流れていた。彼の身に一体何があったのか?リオファーレは彼を見ながら沈黙して佇んだ。彼のあとについてきた部下はその光景に驚きを隠せずに、その場で口を押さえると床に吐いた。悲惨な光景を目の当たりにした部下は、逃げ出すように部屋から出て行った。リオファーレはその部屋の中に留まると、死んだ彼を見ながら沈黙し続けた。まるで壊れた人形が、椅子に座らされているようにも見えた。どこか悲壮感が漂う光景は、見るものをそこに惹き付けるような雰囲気さえあった。
死んだ男の視線は虚ろげで、瞳を開いたままになっていた。彼が最後になにを見たかは誰にもわからないが、その目は恐怖に怯えているようにも見えた。一体この部屋で何が行われたかは予測できなかったが、恐怖だけがそこには渦巻いていた。冷たい空気がはりつめた部屋には無惨な死体が椅子の上に座らされたままだった。一体誰が彼を殺したのか? リオファーレは黙ったまま考えた。思い当たるのは一人ぐらいだった。もし彼を殺すなら、クロビスしかいない。彼は頭の中でそう確信していた。残酷で冷血非道な男といえば、ここでは彼しかいない。彼なら間違いなく、こんな事も平気でやれるだろう。
リオファーレは沈黙したままそう思い込んだ。よくみると、彼の頭には看守の帽子が被されていた。その帽子の下からは血が滴って頭から顔にかけて血が流れていた。不意に頭の帽子を取ると、彼はそこで絶句した。彼の頭は切り開かれていて脳だけがなかった。どうみても、誰かに意図的に抜き取られたとしか、言いようがなかった。不可解な彼の死に、そこで持っている帽子を再び頭に被せた。
「オーチス……」
彼はそこで思い詰めたようにポツリと呟いた――。
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