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「お断りします」
見事なまでの天使の笑顔でキッパリ言い切られた言葉に、俺はハハハと乾いた笑いをもらす。
実お父さんに勧められるままもう一度叔父さんを訪ねて事務所に来てみたものの、叔父さんはこんにちはと形式的な挨拶をした後はまるで俺なんか居ないと言ったふうに机に向かったままデスクワークをこなして行く。
そんな叔父さんにちろちろ視線を向けながら、居心地悪げに来客用のソファーに座っていた。
出されたお茶が温くなった頃、流石にこのままじゃダメだととりあえずこの間突然押しかけて来たことを謝罪しつつ、今日訪ねて来た理由を告げる。最後にもう一度「協力していただけませんか?」という言葉も添えて。
すると叔父さんは聞いてるのか聞いていないのか話している間目の前の作業はやめないまま。そして話をし終えると同時に「お断りします」とキッパリハッキリそう言われたというわけだ。
「やっぱりダメですよね……」
一度断わられているんだ。この叔父さんが日を空けたからといって一度言ったことを撤回するはずがない。それはわかってるんだけど。
「貴方も大概諦めが悪いですねぇ。一度断られたんですからいい加減にしては? 鬱陶しいですよ」
カタカタとキーボードを打つ音に混じって辛辣な言葉が返ってくる。それに「はあ……」と答えつつ頬をポリポリとかいた。
「実さんが何と言ったかは知りませんが、僕の考えは変わりませんよ。何度来ても無駄です」
「……わかりました。もう叔父さんを頼りません、ごめんなさい。でも一つだけ聞かせてください」
かたり、とキーボードを打つ手が止まる。
「叔父さんはなんで今の仕事に着こうと思ったんですか?」
「その質問に答えて、何か得るものがあるんですか?」
「多分……いえ、きっと」
曖昧に答える俺を叔父さんは細めた目でみやり、はあ、と小さく息をついた。
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