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嫁? 貴さん?
貴さんって多分貴文さんの事…………だよな? でも嫁って?
もうなんか会話に混ざるのも面倒だな、と二人の論戦を止めるのを諦める。そのまま二人を見つめながら「早く終わらないかなー」と眺めていると、さっき優馬さんに会心の一撃を受けた斗真が「いてて」と顎を押さえながら起き上がる。
そしてギャーギャーと言い合いをする優馬さんと叔父さんを見ると「また始まったか」と頭をポリポリとかいた。
「大丈夫ですか?」
視線を合わせる様に横に腰を降ろすと、斗真が「ああ」と返してくる。
「これ、いつもなんですか?」
「これって?」
「優馬さんと叔父さんのやり取り」
「ああ、まぁな。優馬は貴先輩が絡むと面倒だから。だから今日は俺が話をつけるっつって一人で来たのにいつの間にかついて来てやがって…………」
いい終えて、はあ、と溜息。
「貴先輩って、貴文さんの事ですか?」
「え、何、お前知ってんの?」
「そりゃあ……まぁ貴文さんには兄と叔父がお世話になってますから」
兄さんはこの事務所に所属してるSAGINの専属作詞家だったし、兄弟子のトナミさんはそのメンバーだったし。実お父さんは会計で働いてたし最終叔父さんは古巣のスタッフ。
「あ、でもまともに話したのはこの間が初めてで……挨拶くらいはしてたんですけど」
だから知ってるは知ってます、と言えば、斗真が「その手があったか」と盛大に肩を落としながら頭を抱える。
「え、その手……?」
「そうだよなぁ。貴先輩を知ってる奴だったら別に櫻木美月に会わせろって言わなくてもお前に言っても良かったんじゃん。あーったくなんでそんな単純な事に気が付かなかったんだろ俺」
「でも、貴文さんは社長さんだからそんな簡単に……俺もちゃんと予約って言うか約束して時間とってもらいましたし」
貴文さんは芸能事務所の社長である前に大学生だ。平日の昼は当たり前のように学校に行ってるし、夜・祝日は商談で走り回ってるって言ってたし。大体俺まだここの人間じゃないんだけど…………。
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