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《譲れない想い》1
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――翌朝。
ベッドへ寄り添うように眠っている二人。
先に目を覚ましたのはみずき、今日も朝から仕事があるので、アキラを起こさないよう、そっと布団から出る。
アキラが起きて寒くないよう暖房をつけ、身支度をすませて…
自分とアキラの朝食用のパンの準備と目だま焼きを焼くみずき。
アキラと暮らし始めて身についた習慣、以前はカップ麺か何も食べないのがあたり前だったけれど…
アキラにそれを勧めるわけにはいかないし、何も作らないとアキラは飲物だけで朝を過ごしてしまうので、元々少食なアキラの貴重な一食は何としても取らせなくては…
危機感にも似た思いで作ってしまうみずき。
そうこうしているうちに、朝食の用意が出来上がる、フライパンを片付けている頃になるとアキラが目を覚ましてくる。
「…おはよー」
まだ眠そうに、ひと声かけて洗面所へ消えるアキラ。
「おはよう、アキラ」
みずきも言葉を返してソファに座ってアキラが来るのを待っている。
アキラは、顔を洗うと髪を一つにくくりあげながら…部屋の端にある小さなキッチンへ足を進める。
その動きをなにげに見つめながら優しく言葉をかける。
「…今日、目だま焼き焼いたけど、食べるか?」
「うーん…」
アキラは考えるように唸ったまま、湯を沸かし珈琲をいれている。
みずきの分も作って、ソファの方へやってくる。
「…はい、みずき」
コーヒーカップをひとつ渡しながらみずきの隣へ座るアキラ。
「ありがとう…」
不安そうに答えを待つみずき。
「ふ、そんな顔しなくても、せっかくだから食べるよ。出来れば次はサラダがいいな、なんて…」
微笑み珈琲を口にする。
「あぁ、わかった」
安心したように頷き。
待っていて…と、そっと優しくアキラの唇にキスを落として…キッチンへ向かう。
そして食パンを焼いて持ってくるみずき。
それを一緒に食べはじめる。
いつもアキラは食パン一枚の半分を食べるので、みずきは残り半分と一枚を食べる。
「うん、けっこううまくなったじゃん」
目だま焼きに手をつけながら、感想を口にするアキラ。
「…前よりは、食べれるものになったよな…」
以前は、黄身が半熟だったり崩れていたりして…、でもなんとか形になってきた。
「大丈夫、おいしいから…でも、無理して作らなくてもいいよ?仕事前なのに…だるいだろ?」
そう聞いてくるアキラに、みずきは…
「昼、一緒に食べられないから…一緒にいる時間はアキラが食べているところを見ないと落ち着かなくて…」
苦笑いしながら答える。
「ふ、大丈夫。ちゃんと食べてるよ昼も。赤ちゃんじゃないんだし…」
心配しすぎ、と含んで言葉をだすアキラ。
続けて考えるように話し出す…
「…みずきが、お父さんになったら、子ども溺愛しそうだね、なんでもしてあげてさ…でも、それじゃ、本当の意味で子どもの為にはならないんだよ、自立心が育たない…」
チラっとみずきの瞳を覗いてみる。
「…アキラ、俺は、子育てしてるんじゃないよ」
優しく言葉を返すみずき。
「そうだけど…一応、教えとく…」
将来ならないとはかぎらないから…。
今、こうしてみずきと居ることが…本当にみずきにとっていい事なのか…
考え出したらとりとめないけど…
こうやって、みずきと暮らしていく時だって…あってもいいよな…。
アキラの言葉の意味を勘繰ってやや疑問の顔つきなみずき…
「みずき、早く食べないと遅刻するぞ!」
アキラがそう急かすと…
「えっ…」
慌てて時計を見るみずき。
「あと10分!」
さらに急かすアキラ。
「あぁ、本当だ…アキラ、今日は学校ないんだよな…」
急ぎ、残りの食事を口に運びながら聞くみずき。
「うん、ガッコはあと終業式だけ…」
そんな様子を見てクスッと笑い、頷き答える。
「…今日はどこにも行かないよな」
また尋ねる。
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