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違う。のが違う?
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「…全て思い出した。」
「俺はわりかしすぐ分かったけどなぁー」
(…この男っ!)
「なんだよ、あん時は俺が女だって思ってたくせに…」
「ん?…だぁ〜って、あの時めっちゃ可愛いかったじゃん」
「かわっ…!?」
両手を腰にあてて、あっけらかんとして答える彼に軽く殺意が湧く。
「はぁ…。まぁ確かに俺が女だったらなぁ」
「ん?」
ジヨンは小首を傾げて「何が?」って顔をしている。
そんなキザな動作ですら様になるとか、正直ズルいと思う…。
(『女だったら』俺はお前にちゃんと覚えてもらえていたのだろうか…。なぁーんて。
まだ引きずってるみたいな言い方だな。
そんなこともう無い。もう恋なんて…)
「どうしたの、ちよ?」
「….ッ!??」
ぼーっとしていた弥千代を訝しく思ったのか名前で呼ばれる。
誰にも「ちよ」などと呼ばれた事がなかったので動揺してしまう。
「なんっ?!!…"ちよ" って…」
「何って、お前の名前だろ?」
「ちがうっ!」
「ぇっ!?弥千代じゃないの!?」
「ぇ??…ちがう、そうじゃなくて…」
(あぁぁ、もうこの男めんどくせぇ!)
「いいじゃん"ちよ"。…よしっ!取り敢えず店行くか!俺ビールがいいっ♪」
「〜ッ、知るかぁ!!」
…なんて自由奔放なのだろう。
部署が違うとはいえこれから同じ会社で大丈夫なのだろうか。
初恋の、しかと男とどうやって接すればいいのだろうか。
そんな心配で胃がキリキリしていると、急にグイッと腕を掴まれた。
「わぁっ!」
「さぁ行こう行こうっ!」
そんな彼の表情はカラッと明るく笑っていて何だか一人楽しそうだった。
小学生だった頃とはまた違う、『大人』な雰囲気でドキドキさせられる。
(……ん?? 『ドキドキ』!?
ち、違う違う違う!!!ただ俺は大人っぽくなったなぁ、って思ったたけで…あって……
決してまたこいつを好きになるとかありえない。)
そう、ありえないのだ。
小学生の頃、ジヨンへの初恋を玉砕され以来、女でも男でも好きになろうとは思わなかった。
『こんなに苦しいのなら必要ないし、こんなのがなくたって生きていける。』
…そう思ってた。
そして二人で会社を出て行く。
隣に並ぶジヨンは相変わらず男前で、モテるんだろうなぁ、と思わせる。
長身でイケメン、髪はゆるゆるふわふわ、性格は優しい。
(周りの人は見て笑ってたけど、俺がばらまいた書類拾ってくれたし。しかも全部運んで貰っちゃったし…非の打ち所がないね)
見上げる彼は男の弥千代から見ても素敵だと感じさせられた。
「ん?なぁ〜に?…そんなに見つめられたら穴あいちゃうんですけどっ」
「…べッ!!…つに。何でもないし…」
「ふ〜ん、そう?…あ、でね、韓国に…」
「…へ〜」
ジヨンに見ていたことがバレて、「ちゃんと俺のこと見てくれてたんだ」なんて一瞬浮かれた。
しかし、次には差して興味もなさそうな返事が帰ってきて、韓国の話を聞かせてくれた。
それがなんだか胸にモヤモヤと違和感を持たせた。
(んー…たぶん、このモヤモヤは灰色だな)
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