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「少女を失った時、彼は初めて自分がしたあやまちに後悔したそうです。ですが一度その者の手で人形から人へ変化したドールは決して愛玩ドールに戻ることはありません。彼が愛玩ドールのその秘密を知った時には、すでに遅かったのです。彼がいくら願っても、人形に戻った少女が再び愛玩ドールに戻ることはなく。彼は深い悲しみと絶望に暮れて、やがて心を病んだのです。少女への想いを絶ちきれなかった彼は妻を捨て、両親を捨て、自らの名前や家柄もすべて捨てて、彼はあてもない長い旅に出ることにしたのです。彼の話によれば、人形から離れてしまった愛玩ドールの魂を再び取り戻すために旅に出たと言っていました。そして、彼は私にその話をしていく中である物を見せてくれました。自身が長年持ち歩いていた私物の中から、彼は青い鞄を開けると、私に愛玩ドールを見せてくれたのです。そう、それこそがまさに貴方が私から買い受けた愛玩ドールです!」
アーバンのその事実を聞かされると、ローゼフは顔を青ざめさせながら驚愕に声を震わせた。
「ばっ、ばかな……!?」
「彼は私に愛玩ドールを見せるだけではなく、人形について色々と教えてくれました。とても親切に色々とね……。彼は長い間放浪生活をしていたので人との接触をしていなかったせいなのか、それが仇となったんでしょう。彼は私の前でベラベラと楽しそうに話してました。そして私は彼に愛玩ドールを見せられて、それが欲しくて堪らなくなったのです。なにせ幻と呼ばれている人形だったから、なおさらそれが欲しくてたまりませんでした。骨董品屋として長年商売をしていましたが、私も密かに愛玩ドールを探していました。見つければその人形を探している裕福な貴族が、それを欲しさに惜しみなく多額の金を私に差し出しますからね。だから何としてでも、私は彼が持っている愛玩ドールを手に入れたかったのです……!」
アーバンは銃を片手に狂気を漂わせながら怪しく笑った。
「貴方にはわかりますか? 裕福な家庭に生まれた貴方には、そんなジレンマなんて1つも無いんでしょうが……。欲しいものが簡単に手に入る貴方には、それすら感じ無いんでしょう。欲しいものがあるのになかなか手に入れられない、私のジレンマなど貴方には理解できない……!」
「だからお前は彼から愛玩ドールを盗んだのか!?」
ローゼフはとっさにその言葉を口走った。アーバンはその瞬間、突如そこで高笑いをした。それはまるで一人の男のつけていた仮面の下が剥がれた瞬間だった。
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