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「まったく……! いい年した貴族のオッサンが、こんな人形ごときで自分の一生を無駄にするなんてバカげている! なんの苦労もしないで人形なんぞに無駄な金をかけて! だから私は貴族が嫌いなんだ! パンを一つ買うだけでも市民達は苦労していると言うのに……! 貴様らはろくに苦労もしないで、好きなモノを楽して手に入れている! たかが生まれた環境が違うだけで自分達は市民達よりも、特別な存在だと思い込んでいる! つけあがるなよクソの癖にして、貴族がいるから市民達の暴動が絶えないんだ!」
アーバンは怒りをぶつけると、倒した人形の顔を足で何度も踏みつけた。そして唾を吐いて憂さ晴らしをした。オーランドは取り乱した様子で大声を上げて叫んだ。
「メアリー! やっ、やめろ……! やめてくれ! メアリーは私の大事な彼女なのだ……!」
悲痛な声で叫ぶとアーバンは両手に椅子を持って、少女の人形を目の前で壊し始めた。
「ふん、まったく哀れなジジイだ! こんな人形ごときに愛を求めて一体何になる!? こんなのただの動かない飾り物の人形だろうがぁっ!!」
アーバンは少女の人形を椅子でズタズタに壊すと、オーランドは泣き叫んだ。
「ヤメロォオオオッ!!」
ローゼフはオーランドの取り乱した様子を見て、彼の人形への愛と執着心がどれだけ深いかをおもい知った。そして、少女の人形は見るも無惨な姿で壊れ果てた。人形はあどけない顔でオーランドの方をジッと見つめながら横たわっていた。オーランドは重症の最中、自分の右胸をおさえると口から血を吐きながらも少女の下へと歩み寄った。そして、彼は壊れた人形を両手で震えながら抱き抱えると酷い悲しみに襲われながら涙を流した。
「おお、私のメアリー……! なんて姿に…――!」
アーバンは憂さ晴らしをすると、椅子を地面に放り投げてピノを再び人質にとった。
「私はね、ローゼフ伯爵。素敵なビジネスを思いついたんですよ。だからもう骨董品屋の主人なんか辞めて、この子を使って素敵なビジネスをしようと思うのです」
「な、なんだと……!?」
「貴方達はこの人形を手に入れるのに多額の金を私に払った。つまりこの子さえいれば、いくらだって大金を手に入れられることに私は気がづいたのです!」
「アーバン貴様ぁっ!!」
ローゼフはその言葉に怒りに内震えた。
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