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一目惚れ。
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「なぁ?お前、俺のもんになんね?」
「は?」
突然現れた男は、俺に自分のパカーを羽織らせてそう言い放つ。
「ここ通りかかったら、集団の間にお前がいて襲われてっから助けたんだけど。さっき、お前の顔ちらっと見えて一目惚れした」
すごく、人形みたいに整った顔のいかつい男。
なんで、こんなやつが俺なんかに?
「だめ?」
つり上がったまゆをハの字にさせていう男。
そんな顔すんなよ、俺もお前に一目惚れしたんだから…。
「…わかった。無理だったよな、そのパーカー返さなくていいからな。じゃ」
そう言って、男は俺に背を向けた。
何俺強気になってんの、この背中を俺はもう見れないかもしれねぇんだぞ。
「やだ」
もうこれ以上一人になんかなりたくない。
弱い自分は、捨てたはずだったのに涙がこぼれ落ちる。
「…行かないでっ」
コンクリートの床に、雫が落ちてシミができる。
「ばーか、何泣いてんだよ。」
俺の頭上から声が降りてきて、俺はそっと顔を上げると目の前が真っ暗になった。
でも、それと同時に温もりと香水のような洗剤の匂いがした。
「俺、お前に一目ぼれっつったでしょ?
あれ、本当だから。断られてもお前のことなんか離す気ねーよ。泣いてくれたってことは、期待してもいいってことだろ?」
俺は、暗闇から上の方に顔を出してこの男の肩に顎をのせた。
なんだろ、このフィット感ちょーおちつく。
「俺、お前居ないと死ぬかも。」
口が、勝手に気持ちを呟く。
「は。勝手に言ってろ、俺が死なせねぇ」
「死ぬ気でついてこいよな」
「死んでも守ってやるよ。ばーか」
また、視界が歪んで涙が溢れた。
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