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始まり ~sideまさと~
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物心ついたときには、すでにおれの恋愛対象は同性の男に限られていて、もちろん初恋の相手も同級生の男子だった。
家庭環境的には同性との恋愛は受け入れられても、世間的には受け入れられるものではないと、身をもって知っていたおれは、同性愛者だということは、ずっと隠して生きていた。
おれの育った環境というのが、かなり特殊だった。両親が共に水商売というのは、まだよくある話だろう。
おれは、小さな店で“ママ”をしている父親と男嫌いのくせに売れっ子のホステスとして働く母親との間に生まれた子どもだ。
特殊さがそれで終われば、まだシンプルな話なのだが、うちの場合はさらにややこしい。
おれの戸籍上、生物学上の両親の間にどんな経緯があったのかはわからない。ただ、おれが気づいたときには、すでにうちの家族は5人家族で、おれには二人の父親と二人の母親がいたのだ。
つまり、おれの見た目が女の父親には男の恋人がいて、おれの母親には見た目が男の女の恋人がいて。
説明するのも面倒なほど、ややこしい家庭環境だったが、両親がまるで姉妹かのように仲が良く、二組のカップルがそれぞれに生涯を誓い合うほど深く愛し合っていたから、幼いうちは全く違和感も感じてはいなかった。
それでも世間の目は厳しく、幼い頃から何度も引っ越しを繰り返し、思春期を迎える頃には、思春期特有の潔癖さから、少しだけ荒れたりもした。
そんなおれでも、見捨てずにずっと育ててくれた二組の両親を、今では心から尊敬し、感謝している。
だから、自然と、おれは彼らのような関係に憧れていった。
愛し、愛されて、慈しみあい、お互いを生涯の伴侶と心に決める。
そんな相手を求めていた。
間違っても、セフレなんて求めていなかったし、恋人にするなら、誠実で一途な可愛い子がいい、そんな願望を抱いていた。
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