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恋2
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しばらく泣き続けたあと、気持ちが落ち着いた様子の亮に、何があったのか聞き出す。
浮気をされているかもしれないと、苦しそうに呟く亮を、抱き締めて自分のものにしてまいたくなる衝動と必死で戦った。
それほど、泣き顔を歪ませている亮は儚げで、綺麗だった。
亮を苦しませている相手に憎しみを覚える。同時に、亮を苦しませることができるほど、亮に想われているのかと思うと嫉妬で頭がおかしくなりそうだった。
本当に浮気だったらどうしたらいいのかと、亮にすがるように尋ねられて、思わず本音がこぼれる。
別れてしまえ。
そんな自分が情けなくて仕方なかった。弱っている亮につけこむような、こんな真似。
その後は、そいつのもとに帰したくないと、必死で引き止めたが、するりと逃げられてしまった。
それで、よかったのだとも思った。
あのまま、そばにいられれば、きっとどんな手を使っても、離したくないと思ってしまっていただろう。
一週間後、バイト先で会った亮は、仲直りしたと笑顔で報告してきた。
その笑顔は、幸せそうで、見たことがないほど清廉で、男とは思えないほど可憐な微笑みだった。
「幸せそうだな」
そう言うと、頬を染め緩く微笑み頷く亮。
その顔を、自分ではなく違う人間が引き出したのかと思うと、悔しくて仕方なかったが、それでも、この笑顔が見られたことが嬉しくてたまらなかった。
亮はおれとは違う、ノンケだ。告白しても、気持ち悪がられるだけだ。
そう思えば、このままイイ先輩としての関係を崩したくはなかった。
このまま、近くで亮の笑顔が見れるなら、これでいい。
その思いが打ち砕かれたのは、それからすぐのことだった。
たまたま、バイト終わりが同じ時間で、忘れ物をした亮を追いかけて行った、あの時。
見てしまったのは、コンビニから出てくる、亮と一人の男で。
どう見ても、亮は、恋人のことを話す時の、甘く緩んだ笑顔で男に接していて、そいつも自然に亮を守るように独占するように、自分の体に引き寄せていた。
一目で、二人が恋人同士だとわかる。
「アキラ、そんなんじゃ風邪引くよ」
亮の首もとに自分のマフラーをかける男に、困ったような顔で亮が話しかける。チャラそうな男は、マフラーを返そうとする亮の手を握って、耳元で何か囁き、それを聞いた亮は耳まで赤くなって。
それ以上を見ていられなくなり、バイト先へと戻っていった。
亮の忘れたマフラーをキツく握りしめたまま。
亮は男と付き合ってたのか。
それなら、おれは何だったんだ。
必死で我慢したおれは、何だったんだ。
裏切られた、そう思ってしまった。
勝手な話だ。そう理性は囁くのに、感情は抑えきれなかった。
そして、亮の顔を見るのが嫌で、シフトをずらし、距離を取った。
だから、気がつくのが遅れてしまう。
幸せそうな笑顔を見せていた亮が、崩れていくことに。
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