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恋4
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「オレもそろそろ飽きたころだしな、いいぜ譲ってやっても。あいつの体、オレのクセついてるかもしんねえけど」
吐き出される言葉に耳を疑うしかない。
コイツは何を言ってるんだ?おれの話を聞いてなかったのかよ。
「オレの使い古しでよけりゃあ、いつでも持っていけよ。亮、ああ見えてかなりの好きモノだから、満足させるの大変だと思うけど。なんせ初めての時から腰振ってきたインランだからな」
それ以上を覚えてはいない。というより、脳が記憶することを拒否した。それほどひどい言葉だった。
気がつけば、おれはガキ相手に本気を出して、胸ぐらを掴みかかっていた。
「亮の話聞いたときから、お前がサイテーだってわかってたけどな。ここまで酷いとは思わなかったよ」
そう吐き捨てて、投げ捨てるかのように、胸ぐらを掴んでいた手を離した。
すぐさまタバコをくわえ、 カフェを後にする。あの腐った奴と同じ空気を吸うことすら嫌だった。
亮のクビが決まったあと、私物を取りに亮が来ると聞いて、用もないのにバイト先を訪れた。
亮は、相変わらず細くて消えてしまいそうだったが、表情はどこかスッキリとして見えた。
バイトをやめられるのが嬉しいのか、それともアイツと仲直りでもしたか。
「俺が休んでる間、ずっとカバーしてくれてたんですよね。・・・迷惑かけちゃってすみませんでした」
頭を下げてきた亮の首筋に紅い跡を見つけて、黒い感情に囚われそうになる。
「迷惑かけたんだから、なんか奢れー」
冗談で自分の気持ちを必死で誤魔化した。
おれの冗談を真に受けて、近くのカフェへ連れていってくれる亮。
問い詰めるつもりはなくても、あれからアイツとどうなったのか知りたかった。
何かあったのか尋ねても、なぜわかったのかと不思議そうな顔をする。
首筋の跡を教えてやると、襟をキュッと合わせて隠そうとする。
結局、それをつけたのがアイツとわかって気分が悪くなるが、リョウは今日別れてきた、と言う。
心のどこかで、チャンスだと叫ぶ自分がいた。今だつけこめ、モノにしろ、と。
おれにしないか、と流れるように告白していた。好きだった、一目惚れだった。と。
亮は最初は信じていなかったようだが、おれが本気だとわかると、困ったような表情をした。
ああ、こりゃフラれるな。なんとなく、わかった。
だから、返事はお前があいつを忘れてからにしてくれ、そう頼んだ。
この場でフラれるのは辛すぎる。粘れば、いつかおれに傾いてくれるかもしれない。
だから、強がりを言った。
「これからは、本気でいくから」と。
亮が、アイツを忘れる日はこない。その瞳を見ればそれは明白だった。
───そうして、おれの長い長い恋は失恋という区切りを迎えた。
それでも、長い間おれの心を占めていた亮への思いは、簡単には消えてはくれなかったが。
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