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出逢い3
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おれのいい気分はあまり長続きしなかった。
おれの働いているファミレスでは、夜10時からの夜間帯は調理場は一人、ホールも二人で動く。
ホールのスタッフが気のきいたよく働く奴なら全く問題はないのだが、今日は違った。
ホールの一人は新人研修終えたばかりの大人しい女の子で、もう一人が最悪なことに鈴木だった。
鈴木は、バイト歴は長いのに仕事を舐めきっているのか、ろくに仕事もできない奴。バイト先をナンパのための場所だとでも思っていて、バイトの女の子や客にまで手を出している。
あのアホ店長も、おれに釘さすくらいなら、鈴木をなんとかしろってんだ。
バイトが終わるまで、8時間。
とんでもなく疲れそうな気がして、始まる前から深いため息を吐いていた。
おれの嫌な予感は的中した。
新人のバイトが、オーダーミスで客からクレームを受け、おれも責任者として謝罪する羽目になったのだ。
やっと客が納得して帰った後、新人が半泣きで謝ってきたのを軽く頭を叩いてあやし、店内の様子を確認する。
客はこちらの様子を伺ってはいたが、すぐにいつも通りの空気になる。そんなに客も多くなく、これならなんとかなるだろう、そう思っていたが、鈴木の姿がない。
「おい。気分入れ換えろよ?ちょっと一人で頑張っててくれ。鈴木探してくるから」
おれの頭ポンが効いたわけではないだろうが、新人は「はい!」と笑顔を見せた。
鈴木がサボるとしたら、店の裏側のゴミ捨て場だろう。そう思ってそっちに向かおうとしたおれを、引き留める声がする。
「八嶋さん、八嶋さん!」
何故か声を潜めて、おれを手招きする鈴木に怒りがこみ上げてくる。
「おい、お前状況わかってんのかよ」
「ちょっと、それどころじゃないんですって。ちょっとこっち来てくださいよ」
おれの怒りなど気にも留めずに、ぐいぐいおれの調理服を引っ張ってくる。
どこにいくのかと思えば、そのまま男子トイレの前まで連れていかれた。
ふざけんなよ、マニュアル読んでねえのかよ、おれがこのままトイレに入れるわけねーだろが!
怒りのあまり鈴木の手を振り払えば、鈴木がかなり必死な表情をしていたことに気がついた。
トイレに何があるってんだよ、そう言おうとして、すぐに状況が理解できた。
男子トイレの中に響いていたのが、紛れもなく“最中”の声だったからだ。
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