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セフレ4
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睡眠薬で眠ると悪夢を見る。
俺を捨てた女の夢。遠ざかっていく後ろ姿を必死で手を伸ばして、じっと見送る、そんな夢。
現実ではないのだと思う。施設育ちの俺が施設を出る際に唯一得た自分に関する情報は、俺を産んだ女は緊急で運ばれた産院で俺を産んだ後姿を消した、というものだけだったから。その女が誰なのかもわかっていないのだろう、わかっていれば俺が施設で育つはずもないし。
去っていく女を見たはずはないのに、情報だけでそんな夢を見てしまうお手軽な自分が笑える。
いつも通り、頭が重たく目覚めは最悪だった。
だから、睡眠薬を飲むのは嫌なんだよなぁ・・・
自宅について、ベッドに入ったのが深夜2時、今は16時。薬を飲むと、妙に長時間の睡眠になってしまうのも困るところだ。
これじゃあ、今日はかなり激しくシてもらわないと、また眠れない。
ため息を吐きつつ、風呂に湯を張る。ぬるめの湯にぼんやりと浸かっている内に、頭の重たさは楽になっていた。
冷蔵庫の中に入っていたものを適当に摘まみながら、アクセサリーケースのようなガラス張りの箱を取り出す。
俺の命の次に大切なものだ。
中に入っているものは、色とりどりの携帯電話。その中から、紺色のものを取り出し、入っていた一件だけの電話番号を着拒設定にして、放り投げた。これであとは解約すれば、勇人を切る作業は終了だ。
セフレ一人につき携帯を一台。昔から決めている俺のこだわり。
新しいセフレができれば、携帯を一台増やす。それにはそのセフレの番号しか入れない。そのセフレにも、新しい携帯の番号しか教えない。
それだけの付き合いでいい。その為なら、高い携帯代を払うことも苦にはならなかった。
黒の携帯は一番古い。もう、電池も切れてしまっているそれに手を伸ばしかけて、やめた。
思い出にすがってもこの渇きは癒されない。そう悟って、しばらく相手をしてくれそうなセフレを頭の中で探す。昨日勇人が散々痕をつけたから、しばらくは売りもできない。
他の男の痕を嫌がらず、特定の相手もいないからしばらく俺に集中してくれる、そんな相手を何枚かのページをめくるように探し当てた俺は、白の携帯を手に取った。
そこに入っている番号にメールをするとすぐに相手から電話がかかってきた。
「もしもし?久しぶりぃ!こっちは全然大丈夫~!今日からしばらくヨロシクねん♪じゅんとエッチできるの楽しみ楽しみ~ィ♪」
相手も軽いから、楽だ。
この人とセフレになって、もう3年くらいだっけ?ほどよく俺に合わせてくれる、楽しい相手。いいセフレ捕まえたよな、ホンとに。
そう考えると、俺の人を見る目もそこまで底辺じゃないな、と少し気分が上がった。
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