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遭遇1~sideまさと~
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あの悪夢の日から、一ヶ月以上が過ぎて、おれは本気で新しい恋を探そうと考えはじめていた。
思えば、亮に一目惚れしてからもう何年も恋人を作っていない。
どうしても溜まるものは溜まるから、どうしても我慢できなくなった時だけ、なんとか相手を探してはいたが、やはり気持ちの伴わないセックスは、おれには向いていないようで。満足できたことはなく、結局は自分の右手の世話になる、その繰り返しだった。
忙しいから、それどころじゃないんだけどな。
そうも思ったが、どうやら自分はかなり欲求不満らしいし、このところエロい夢をよく見る。
決まって亮が出てきては、キスを始めるのだが、いざ事に及ぶとなると気がつけばいつも、亮ではなく、あの売りの青年になっている。
と言っても後ろ向きだったりで、声しか聞こえないこともあるのだが、亮のあのサラサラとした髪の毛を弄くっていたはずが、気がつけばいつの間にか、少し傷んだような茶髪を弄っていることに気がつき、その快楽に呆けた顔は、やっぱり亮のものじゃなくて、あの売りの青年の顔になっている。
アイツが茶髪だったか、なんて覚えてもなかったのにな。
視界に入れるのも嫌で、記憶を残すことすらしなかったはずが、やっぱり脳のどこかにはあの青年の記憶はしっかりと根付いていたらしい。
茶髪が痛んでたなんて、そんな細かいことまで覚えてるなんて自分では思ってもいなかった。
一度甦った記憶は、更なる記憶を呼び覚ます。
そういえば、目尻に泣き黒子があったな、とか目は大きくて垂れてたな、とか。全体的な印象として、タヌキっぽいというか小動物のような可愛らしさを感じていたこと。その顔で「天国に連れていく」だとか開き直ったようなことを言うのが、痛々しかった印象だとか。
思い出すべきじゃない、それもわかっていた。
あれは近づかない方がいい人種だ。
夢に見てしまったから、こんなに気になるのだ。夢を見たのは、欲求不満だからだ。
その結論に至ったおれは、恋人を探す決意をしたというわけだ。
心のどこかでじくじくと疼くようなものには、気づかないフリをした。
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