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遭遇4
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恋人を探す、なんて気分には到底戻れるわけもなく、ただ、こんな苛立った気分のままで家に帰りたくはなくて、気分転換をしようとブラブラその辺を歩くことにした。
考えまいとしてもどうしても頭の中を占めるのは、亮のこと。
亮本人から、あの人とのことは聞いていた。その関係が恋人でもセフレでもないことも。多分、相互オナニーというのは一番正しい表現なのだろう。
亮は少し潔癖症のようなところがある。他人に触れるのも触れられるのも好きではないと、長い付き合いで知っていた。だから、あの人との関係を知らされたとき、ダメ元で『おれじゃ駄目か?』と尋ねて、あっさり断られてもなんとか自分を納得させることができた。
どれだけ他人を拒絶していても、人肌が恋しくなる気持ちもわかる。自分だって同じだ。
それでも、実際に亮のエロい姿を見ているとわかっている人間を前に冷静でいられるほど、自分は大人でも枯れてもいない。
自分がどうやったって、見ることも触ることもできない亮のセックスの時の姿。想像することすらできないのだから。
そこまで考えて、自分の亮への思いがすでに恋ではなくなってしまったのかもしれないと感じていた。
亮に欲情することを心のどこかが拒否している。だから、想像もできないし、夢でもいつの間にか別人に変わってしまうのだろう。
これが気持ちが変わっていく、ということなのだろうか。それでも、今はあの男の顔を思い出しただけで、腸が煮えくり返りそうなほどの苛立ちを覚えていた。
「くそっ」
なんで、あの男ならいいんだ。なんでおれじゃ駄目なんだ・・・
どこにもぶつけることのできない思いは、足下に転がっていた小石にぶつけられ、ぶつけられた小石は一直線に目の前の公園の繁みへと飛んでいった。
その放物線を見送ったおれは、そのまま吸い込まれるように、公園へと足を踏み入れた。
──この選択が幸か不幸かは、おれにはわからない。
けれど、間違いなくその選択によって、おれの人生は大きく変わっていくことになる──
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