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覚醒2
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ふと気がついてみれば、辺りは薄暗く、回りに人の気配もない。
いつの間にか眠ったフリが本当に眠ってしまっていたらしい。
ずっと眠っていたせいか、背中が痛くて少し体を横に向ける。それすら簡単には出来なくて、肋骨辺りに激しい痛みを覚える。
と言っても、全身が痛くて本当に肋骨が痛いのかもよくわからなかったけど。
横を向いてみると、ちょうど頭の横に、ストローの刺さったペットボトルと、何かの錠剤が小さいお盆の上に乗っていた。
ペットボトルに貼られたメモには、『起きたら、飲め。痛み止と胃薬だ』と殴り書きのような字が書かれていた。
メモに従うわけではなかったが、この痛みが少しでも楽になるのなら、と必死で腕を伸ばし錠剤を口に運ぶ。
清涼飲料水のようなその水分を口に含んだ瞬間、ピリッと刺すような痛みが走る。そういえば、何度も顔を殴られたんだった、口の中はズタズタなんだろう。
なんとか飲み込んだ時には疲れはててしまい、そのままの体勢で倒れるように意識を失っていった。
*****
『お前みたいな淫売、相手にしてもらえるだけありがたいと思え!』
『頼むよ、じゅん、お前だけが頼りなんだ・・・俺のために・・・』
『余裕だな、淫乱の肉便器のくせに』
『俺をコケにしやがって!』
『そこで全裸になれ。早くしろ、俺だって暇じゃねえんだ』
『じゃあ、ね、元気で』
色んな人間の声がする。
皆、後ろを向いていて顔は見えない。
知っている声にも聞こえるし、知らないような気もする。
ふらふらと漂うように、たくさんの声の中をさ迷う。
どこに向かっているのか、誰のもとに行こうとしているのか、自分にはわからない。そもそも何のためにさ迷っているのか。
不意に、誰かにぐいッと引っ張られるような感覚がして。
───そのまま、目が覚めた。
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