アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
平穏1~sideじゅん~
-
ここに来て一週間が経つと言うのに、俺はこの生活にいまだに慣れない。
目が覚めると、炬燵の上に食事と薬が置かれていて、それを食べてまた寝るという生活。
起き上がってトイレまで一人で行くことができたのは幸いだった。
骨が折れているのは、どうやら肋骨のどこかだけらしく、ゆっくりと動けば、歩くこともできる。
しばらくの間は、腰やアナルの痛みは尋常じゃなかったが、それも自分の責任だ。
痛いのや苦しいのは我慢すればいいだけだ。
だけど、このぬるま湯のような生活に、居心地の悪さが消えることはなかった。
それならば、出ていけばいいのだが、それもできない自分が不思議だった。居心地は悪いのにどこかでこの安らぎを求めている・・・?
元々頭は悪いし、考え事に向いてる脳じゃない。
ややこしいことは考えない、それでいい。そうやって今まで生きてきたのだ、今もそうしておけばいい。
気を取り直して、用意してくれていたメシを食べる。口の中の傷はすっかり癒えていて、もう何でも食べられるようになっていた。
今日はチャーハンというか、炒めメシというか。多分余り物を放り込んで作ったのだと思う。金が全くかかっていないと一目でわかる具材。
でも、不思議と美味しかった。
それにしても。
あの顔で料理とか、笑える。
一番最初に料理を食べさせられた時は、見た目の悪さから、全く味に期待してなかったのに、一口食べさせられたらいい意味で裏切られて。
完食してから、美味しかったと告げるとあのむっつりとした顔が、ふわっと優しくなって、「そうか」とだけ言われた。
その時は、まさか男が作ってるなんて知らなくて、ただ、優しく笑う顔がなんとなくもう一度見たくて、何度も美味しかった、伝えていた。
あの大柄な体のしかめっ面の男が、台所に立っていた時には、本当に驚いた。しかも素人目にもわかるほど手際も良くて、しかも味もウマイ。なんとなく、悔しい気持ちにもなる。
「ごちそうさまでした」
誰もいなくても習慣で、食事の前後には手を合わせてしまう、施設で染み付いてしまったものだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
47 / 118