アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
戸惑い2
-
一緒に生活していれば、自然と色々なことが見えてくる。
純は、おれとの最初の出会いを全く覚えていなかった。
それがわかったとき、かなりショックを受けていて、ショックを受けた自分にも動揺した。
だからなのかもしれないが、あの時見せた、値踏みするような視線や妖しい笑みを見せることはなかった。
おれの狭い部屋にいる純は、少しかわいい顔をしたただの青年だった。
おれの作ったメシを美味しいと喜んだり、娯楽の何もないおれの部屋でぼんやりとしていたり、おれがバイトから帰ってくるのを嬉しそうに出迎えたり、寂しがり屋なのだろうと思う。
それが、本来の純の姿なのか、おれが売りのことを知らないと思って演技をしているのか判断ができなくて、つい田中のことを口にしてしまう。
田中からの伝言は確かに言われたことだった。
売りは休め。
でも、それはおれの本音なのかもしれない、そう思ってしまう。
おれが田中のことも純の売りのことも知っていることを知らされて、純がショックを受けた姿を見て、どこかで満足している自分がいた。
純に売りは似合わない。
深く知っているわけでもないのに、そう思ってしまっていたからだ。売りが隠したいことなら、辞めてしまえばいい、そう思っていたことを戸惑いながらも受け入れる。
「軽蔑、した?」
そう震える声で尋ねられたのは、数日後のことだった。
一瞬なんの話かわからず、純の青ざめた顔を見て、ようやく売りの話だとわかる。
「してねーよ」
いつものようにぶっきらぼうに答えながら、純の髪の毛を撫でる。これも、いつの間にか癖になってしまっていた。
嬉しそうな安心したような純の顔を見ていると、『そんなに恥じているならなんで売りなんかやってんだ』とはどうしても聞けなかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
51 / 118