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異変4
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悔しくてたまらないはずなのに、まさとがここに住めと言ってくれたことが嬉しくもあった。その意図がなんなのかわからずに、もやもやとした気持ちも膨れたけど。
定位置となった炬燵の横の布団の上で、ゴロゴロ転がっていると、まさとが湯気の上がった皿を運んでくる。
「ほれ、食うぞ」
炬燵の上にはトマトソースのパスタと、ブロッコリーとかの温野菜のサラダが添えられたプレーンオムレツが並ぶ。
うまそー。
俺の単純な脳みそは、さっきまでの複雑な思いなんかきれいに忘れて、目の前の食事に夢中になる。
「いただきます」
いつもの通り手を合わせて食事を始める。
しばらくは夢中になって食べていたのに、まさとの視線に箸が止まってしまう。
「なに?」
自分でもビックリするくらい、つっけんどんな声が出た。本当に調子が狂う。こんなのいつもの自分じゃない。
「・・・困らせるつもりはなかったんだ。ただ、さ。・・・あん時の奴らってちゃんと決着ついてないんだろ?一人にするの、心配でさ」
一瞬、何の話かわからなくて、反応に困ったが、さっきまさとがここに住めと言ってきた話なのだとわかった。だけど、どうしてそこまで俺なんかに心配できるのかがわからない。
俺がどうなろうと、まさとには関係ないのに。
「いや、本当に純の好きにすればいいんだからな。出ていきたいなら出ていって構わねーから」
その言葉に何故かカチンと来た。
さっきはいてほしいみたいに言ってたくせに。俺だって出ていくなんて言ってないのに。
そう思った自分に驚いた。
いつの間にか、ここに残るという結論を出していた自分に。
本当に、俺はどうかしてるんじゃないだろうか・・・
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