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すれ違い3
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───おれは、“親父”の影響を強く受けている。
だから、『男が軽々しく愛してるなんて言えるか』というのがモットーの親父の影響で、おれは純に愛を囁くことはなかった。
というより、他の誰にも言ったことはない。そういうのは、言わなくても伝わるもんだ、そう思っていたからだ。まあ、それも親父の影響だろうが。
『おれだけにしとかねーか』
これが、あの時のおれの精一杯の告白だったなんて、誰が信じてくれるだろう。
純にはきっと、伝わっていなかったはずだ。
もしも、おれが、純に「愛してる」と伝えられていたら、未来は変えられたのだろうか。
もしも、もしも、おれが自分の気持ちを素直に表現できていたら。
おれと純は、傷つけ合うこともなかったのだろうか。
もしも、の話ばかりがおれの心に過る。
後悔とは先には立たないものなのだ、決して───
些細な違和感を覚えたのは、セックスのことだった。
三日とあけずに誘ってくるのは別にいい。おれだってまだ若いただの男だし、性欲だって人並みにある。恋人ができてしばらくは毎日だって平気なくらいだ。
だが、純は気分が盛り上がって誘ってくると言うよりも、切羽詰まった様子のことが多かった。
最初の2ヶ月ほどは、おれも純の体に夢中になっていて、気にもならなかったが、次第に純の様子が気になってきて。
義務感でおれと寝ているのか、と疑ったこともあった。
けれど、最中の純は、敏感に感じて何度もイっていて、それが演技だとは到底思えなかった。
それでも何か、違和感があった。
経験は豊富にあるようだが、明らかに過去に幸せなセックスをしたことが無さそうな純。
それが違和感の正体なのか、とその時は感じていた。
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