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再会1~sideまさと~
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別に会いたかった訳じゃない、決して。
会いたい相手には、まだ連絡もできていないというのに、なんでおれはこんな奴と一緒にいるんだろう。
おれの目の前には、明らかに堅気の雰囲気からはかけ離れた男が一人。
ため息を、吐きたくなる。
オフクロが見たらぎゃーぎゃー騒いで煩そうだな、なんて考える。
まーくんが不良になった、とか言い出しそうだ。
そんなことを考えていたら思わず笑いそうになって、慌てて顔を引き締めた。
相手はヤクザだ。隙なんて見せたら、何されるかわかんねー。
「まあ、そんなに嫌そーな顔すんなよ」
片手に瓶ビールを持った田中とか言う名前のヤクザが、おれのグラスにもビールを注ぎながら言う。
「せっかく飲みに来てんだからよ、もうちっと楽しそうな面してくれよ」
どうせ、こいつの奢りだそうだし、酒に罪はない。注がれたビールをぐいっと飲み干す。
好きな銘柄のビールは普通に美味い。
「やっぱり、お前いけるクチなんじゃねーかよ。飲め飲め。んで、ここは俺のとっておきの店だ。何食っても美味いから安心して食え」
別に普段のこいつを知っているわけではないが、なんだか機嫌が良さそうに見える。
確かに店の料理はどれも仕事が丁寧で美味そうだった。
試しに、一番手前にあった炊き合わせを口に運ぶ。
干し椎茸はきちんと乾物臭さが抜けていて、海老真丈はぷりっとした海老の食感や風味を損なっていない。
添えられた青菜もシャキッとしているのに味がしっかりと入っている。
「美味いだろ?」
ドヤ顔に腹を立てる余裕もなく、あまりの美味さにただ素直に頷いていた。
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