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再会4
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純がそもそも、売りを始めたのは、付き合っていた男が借金の形に純を売ったことからだという。
その時、面接をしたというこの男が言うには、純はその恋人からの暴力で全身アザだらけで、骨が折れていた箇所もあったという。
そんな体なのに、セックスになれば我を忘れるかのように、乱れる。
「そん時からな、やべえな、っては思ってたんだ。長年の勘ってヤツだな」
案の定、純は“売り”というセックスを与えられる場にのめり込み、普通なら3年半かかるはずの借金をわずか1年足らずで返済した。
その代わりに体をボロボロにして。
それからも、ずっと純は売りを続けた。今度は金のためじゃなく、自分のために。そして、ひどい客に当たり、身体中ボロボロになってやっと、売りを少し控えるのだという。
けれど、また舞い戻ってくる。
そんな生活をもう5年も続けているというのだ。
涙が出そうになった。
「だから、な。・・・アイツはやめとけ・・・」
しんみりとした口調で田中が言った。
男の印象と、その純を憐れむような、おれを気遣うような口調が妙にちぐはぐで、思わず男を見つめた。
「なんだよ、俺だって鬼じゃねえっつったろ?・・・まぁ、あれだ。アイツには散々迷惑かけられてんだけどな、長い付き合いにもなりゃ、できの悪いのほど情が湧くもんだ」
その、口調は、まるで純の親父かなんかのようで、思わず笑ってしまった。
「ありがとうございます」
深々と頭を下げた。
おれを呼び出したのはこのためだったのだと気がついたら、自然に頭を下げていた。
「お陰で色々と吹っ切れました」
真っ直ぐに男を見つめる。
おれの顔から、言いたいことがわかったのだろう。
目の前でため息をつく田中という男を、悪い人間ではないと感じた。
何の関係もないおれのことを気にかけてくれたのはよくわかったし、彼なりに純を大事に思っていることもわかった。
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