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再会5
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「自分の気持ちには・・・嘘つけねーから」
それが、おれの答えだ。
純の過去を知っても、気持ちには変わりはない。
この気持ちがリョウへの想いとは少し違うこともわかっている。
それでも、純を愛しく思う。過去を知った今は、より守るべき存在として、純のことを想っている。
おれの答えをある程度予想していたのだろう、呆れたような憐れんでいるような微妙な表情で田中はおれを見ていた。
「アイツにそこまでの価値があるとは思えねえけどなぁ」
さっきまでは一々気になっていたその毒舌も、歪んだ愛情というかそういった類いのものにしか聞こえない。
「まぁ、報われることは少なそうですけど、おれ結構シツコイ性格なので、大丈夫です」
リョウへの片想いの期間を考えれば、これから先を考えてもなんとか乗り越えられる気がしていた。
田中は黙っておれのグラスにビールを注いで、あとは二人でただ飲んで食って、特に会話もせずその宴は幕を閉じた。
純に聞きたくて聞けなかった話を、思わぬことから知ってしまって、その日のおれは少しどうかしてたのかもしれない。
気がつけば、おれのスマホには送った覚えのない送信済メールが残されていた。
『会いたい』
そう一言だけの、純へのメールが。
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