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再会7
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動くはずのない携帯を握りしめ、いっそこのまま死ねたら楽なのに、なんて考え始めていた時、急にその音が響いた。
ヴィー、ヴィー、ヴィー。
と短く三回鳴った音の正体が最初はわからなかった。
ああ、メールか。
ようやく気が付いたのは、テーブルの上に放置したままのシルバーの携帯が、着信を告げるランプを点滅させていたから。
田中とのやり取りに使うその携帯が、メールを受け取るなんて久しぶりで、メールの着信をバイブにしていたことすら忘れていた。
誰から?まさか、田中じゃないだろうし。
田中は基本的に直接会うか、電話でしか連絡を取らない。それだけ回りを信用してない証拠だろうと思う。
迷惑メールならむしろ読んでエロサイトに接続してやろうか、なんて少しやけくそなことを考えていた。
だけど、そんな思いはメールを読んでかき消された。
見たことのない、アドレスからのメールは、
『会いたい』
とだけ。
でも、俺にはそれがまさとからだと何故かすぐにわかった。
そういえば、まさとの部屋を出るときに、連絡先を聞かれて。
普段なら教えるはずのない田中との連絡用の携帯のメールアドレスを、とりあえず書いて渡したんだった。
件名も名前もない、絵文字も使われていないそのシンプルというか、簡潔過ぎるメールを、何度も何度も読んだ。
読むってほどの長さじゃなかったけど。
ただの文字、なのに、温かかった。
まさとが、耳元で囁いてくれているような、気がした。
「会いたい・・・」
自然に俺の口からもメールと同じ言葉がこぼれていて、そのことに動揺した。
なんで、こんなに安心してるの、俺。
なんで、まさとだって確信してるの。
なんで、会いたい、なんて思っちゃってるの・・・
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