アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
再会9~sideまさと~
-
おれのスマホがメールの受信を告げたのは、その日のバイトの休憩中のことだった。
電波の問題なのか、メールの受信が何時間も遅れてくることが時折起こる。このタイミングでも、それが起こったらしく、メールが届いたのは14時前だったが、メールの受信画面は7時11分となっている。
どんだけ迷子になってたっていうんだよ。
7時に届いてくれてたら、バイト前に気づけたのに。
思わず当たり散らしそうになったのは、純からのメールだったから。
だが、そのメールを読んだ瞬間におれは180度気持ちを変えていた。今度はスマホにキスしたくなっていた。ここが休憩室じゃなくて、一人きりならしてたかもしれない。
なんといってもメールの内容が『俺も、会いたい』だったのだから、当然だ。
完璧に舞い上がったおれは、休憩後のバイトでミスしまくって、同僚に「どうしたんですか?体調悪いんですか?」なんて心配されたくらいだった。
それほど、舞い上がっていたのだ。
メールが返ってきたというだけで。
その高揚も、時間をおくにつれ、少しずつしぼんでいくように落ち着いていって、バイトが終わる頃にはかなり冷静さを取り戻していた。
よくよく考えれば、好きだ、と伝えた時だって、あいつはおれほどの気持ちを持たずに答えていたんだ。今回だってきっと同じだろう。
それに、メールの最後にじゅん、とひらがなで名前を入れていたのも、なんとなく引っ掛かっていた。
それを見て、そういやおれ名前も何にもいれてねーって気がついたからだけじゃない。
なんとなく、そのひらがなの名前が、売りをしている純の様子と重なってしまうのだ。
あのおれが握り潰したカードのように。
それでも、結局は純への恋しさに負けて、おれは、純にメールを送っていた。
『今から会えないか』
と。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
93 / 118