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痕跡1~sideじゅん~
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何かの夢を見た気がする。
でも、いつものことだけど目が覚めれば何も覚えていなかった。
*****
久しぶりに熟睡した後の目覚めは、かなり爽やかだった。
鼻腔を擽るのは、爽やかなトマトの香り。
まさとの料理の匂いだ。少し前までは当たり前のようなこの匂いが、酷く懐かしくて嬉しくなった。
ベッドから体を起こすのもあまり苦にならない。もちろん腰はだるいけど、まぁ散々ヤリ倒したらこんなもんだよなぁ。
そんなことより、頭痛がない目覚めが久しぶりで、それが何より嬉しかった。
「まーさとっ」
台所に立つまさとに後ろから抱きつく。まさとの体からもいい匂いがして、無くなっていたはずの食欲が沸き上がってくる。
「すんげーいい匂いすんだけど。何作ってくれたの?」
俺の質問には答えずに、俺の腕をゆっくりと剥がしたまさとは、俺の方をあまり見ずに服を着るように促した。
「風邪引くぞ」
そっけない言葉なんて今までと同じなのに、中身は優しいものなのに、俺を見ようとしないことに少し胸が痛む。
「お前が好きだって言ってたやつ、作ってるから」
その言葉に、「やったー!じゃあちゃちゃっと服着てくるね!」と、ちゃらけた声を張り上げた。
沈んだ空気は作りたくない。
まさとは、俺にそんなシリアスなもの望んでないだろうし。
適当に手元にあったパンツを履いて、適当な上着を手に取って、まさとの待ってる台所へ戻ろうとした時、開きっぱなしだったクローゼットの扉に付いている鏡が目に入った。
そこに映る上半身裸の自分の姿に、動きが止まった。
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