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夏の夕蝉4(完結)
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俺はだからこうすることに決めた。迷わず
君のその目の前で思いっきり喉をナイフで…掻っ切った。
赤い血が舞う。君の声しか聞こえていなかったはずなのに
やけに今日は蝉がうるさいなんて今更気づく。
君が絶叫する。泣いて泣いて僕を呼ぶ。
途端に列車が近づく音がする。
ガタンゴトンッと。
君の後ろから黒い列車がやって来る。ありえない。
君は気づかない。
そこで気づく。あぁ俺を迎えに来た。
そのまま君をすり抜け俺を轢く寸前で止まる。
中から小さな少年が降りてきた。
「君が次のカムパネルラ?」
本当に嫌になる。君の言った通りに俺は物語を歩まなければならないというのか。
「遠くへ行きたいんだ」
少年が笑う。その身体と恋人を捨ててまでも?
そこで自分の身体から自分の魂が抜けていることに気付く。
だけどね
「身体は要らない。重いだけだ。だから要らない。でも、こいつはきっとくる」
それに少年が笑う。
「ジョバンニって訳?」
そうだなと頷き列車に乗り込む。しかし少年はそこで降りてしまう。
「さぁ、行きな。代々カムパネルラは孤独に銀河を旅することが義務付けられているのだから」
それに笑い俺は行こう。君が俺を必要としてくれるその日まで…独りで…。
愛してるよ。俺の愛したジョバンニ。サヨナラ。
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