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5 嵐の夜に。3
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遙side
「えーっと…家は?もう真っ暗だし、送ってってやるよ」
「……ない」
「じゃ、じゃあ…名前は?」
「ない…」
可愛らしい声のそいつは予想外の答えを返してくる。
やっぱり警察に電話した方がよさそうだが、変なヤツがいるとしか通報が出来ないのも困るよな…
記憶喪失という場合もないこともないか…
「えーっと、何て呼ばれてた…とか、無いのか?」
「オレ、ずっと前までシェルターに入れられてた」
そこでは、そいつはCO?って呼ばれていたらしい
何で化学式なんだよ……?何だか妙だな
その不思議なことを本当だと仮定すると、嘘のような本当の話にも聞こえなくはない。
「じゃあ、そこに帰ろう」
「嫌だ!!戻りたくないっ!何でもするからそれだけは止めて!!」
そいつは突然必死に止めて、お願いと懇願してきた。
恐怖に怯えた目で見詰められて分かったと頷くしか出来なかった。
「行くとこないなら、俺のところに来るか?」
「……い、いいの?」
「こんな嵐の中に放っておけないからな」
こんなヤツを放っておくとどんな輩に襲われるか分からない。
とにかく保護のためにはそれしか考えられなかった。
「名前が無いと困るよな…んー今日からお前の名前はココだ」
「こ…こ?」
「そうだ、ココだ。俺は朝日 遙。遙でいいよ」
「うん」
ココは嬉しそうな声音で頷いた。
男なのにずいぶんと可愛らしいし、どこか幼さを感じさせる。
コイツの身に一体何が起こったのかは分からないが、とにかく放ってはおけなかった。
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