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63 初めてのデート2
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遙side
これは俺の中で、初めて本気で人を喜ばせようと思った記念すべき日だ。
俺の隣りにいるコイツの笑顔が見たい。
ただそれだけの単純な欲求だった。
ココにとって生まれて初めての遊園地だったようで、
メリーゴーランドやクルクル回るコーヒーカップにも乗りたがった。
小さい子に混じってメリーゴーランドに乗る姿はあまりにも可愛くて、ついつい写真に納めてしまった。
「次は何乗りたい?」
「うーんとね…あ!パレードやってる!あれ見たいっ!」
「お、あれテレビでやってたやつじゃんか。んじゃ、いくか。」
「うんっ!」
人混みで逸れないようにそっと手を握る。
一瞬またびくついたので慌てて手を離した。
「あっ、わり…」
「…う、ううん!」
そう言って何秒か後にココの方から手を握って来てくれた。
下に目線をやるとココが顔を真っ赤にしながら手を握っていた。
それを見て俺の口角は無意識に上がった。
「あー…俺、子供の頃これすげぇー好きだったんだ」
パレードを観ながらぽつりと呟いた。
何だか懐かしくてフフッと笑ってしまい、言いたくなったのだ。
「ここ、来た事あったの?」
意外な顔をして俺の顔を見上げる。
「何回か…親父と姉貴と一緒にな」
「そっか。思い出いっぱいあるんだね」
「ん…まぁな四人揃ってってのは一度も無かったけど」
もう来ないと思ってたのにな。
来てよかった。あの頃みたいに楽しめてる。
「ん。何だ?」
「ううん。何でもない…あの、ほんとに連れてきてくれてありがと…っ」
「全然いいって。俺ももう一回くらい来たかったし」
ココは俺の左手をギュッと強く握って、蕩けるような甘い笑顔を向けた。
俺の目には心なしかその背中に天使の羽が見えた。
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