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70 好きになってもいいですか
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遙side
「目を開けていいぞ」
その言葉を聞いてココが目を開く。
「うわぁ〜っ!すごいっ」
目をキラキラさせて、柵に足をかけ身を乗り出す。
何組かのカップルがツリーを背に写真を撮ってるが、落ち着いて話すのに最適な場所だった。
「落ちるなよ。危ないぞー」
「オレ、クリスマスツリー初めて見た…。こんなにキレイなんだね…」
今にも泣きそうな顔で俺の腰に抱きついてきた。
一瞬ドキッしたが平然を装いつつ、そっとココの背中に手を回し、声をかける。
「…どうした?」
「すごく嬉しくて…。プレゼントくれたのハルが初めてだったから。
それに、こんな素敵な所にも来たことなくて…」
「俺だって、自分からこんな事するの初めてだった…」
「ほ、ほんと?」
目を丸くしてココが見上げる。
「お前の他に、デートしたくなるヤツなんかいねぇからな…」
「ねぇ、そ…それって……どういうこと?」
「それは……
お前が好きだってこと。どこへも行かないで、ずっと一緒にいたい」
そう耳元で囁くと、途端に顔を真っ赤にして今にも湯気が出そうな勢いだった。
「好きになってもいいですか…?」
顔を覗き込んで恭しく訊ねた。
「……はいっ」
そう返事を返し、恥ずかしそうに微笑んだ。
お互いの顔が近づき、その意図を悟ったココはゆっくりと目を閉じる。
俺はそのまま、左手でそっと頬を包んで、唇を優しく重ねた。
どうしてこんなに触れたくなってしまうのだろう。
こんなにもキスが甘く感じて、ずっと味わっていたくなる。
それはきっと────
俺が初めて口付けたあの日、その味、匂い、触れた時の感触を知ってしまったからだろう。
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