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108 ココの過去9
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「ねぇ…。レオ。」
「なんだ。」
「明日にはいなくなるってホント…なの?」
恐る恐る聞いてみる。
嘘だという事を願いたい。
散々な目にあわされてるけど、今の…いや、これからのオレにはこの人しか頼る者がいない。
「あぁ、ほんとだよ…。聞いてたんだな。」
切なげな眼差しに心が痛む。
「なんで!?…オレこれからどうしたらいいの!?」
わけも分からず涙があふれた。
これからの事が不安で不安で仕方がない…。
レオはオレの心情を察するようにそっと近寄ってきて、優しく抱きしめた。
「好きだ…。好きなんだ。お前の事がっ…」
「……え、今何て…?」
「お前の事が好きなんだ。お前を初めて見たとき、
どことなく俺の弟に似ていて、助けたいって思った。
でも、一緒に過ごしていくうち、だんだん好きになっちまった」
「そ、そんな…」
「お前は、こんな俺を好きじゃないだろう?
外に出て一緒に暮らしたい。だけど、お前の事を考えると…それはきっと無理だ。でも、ここから助けることはできる。」
「…………」
どう反応して良いのかまるで分からない。
でも、レオと一緒になるのだけは無理だと思った。
「お前はきっと良い牛になれるだろう…。絶対助けに来る。それまで待っててくれ」
────────────────
次の朝、もうレオはいなかった。
だけど、レオが首から下げていた小さな黒い王冠のネックレスだけがオレの手の中に入っていた。
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