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木村
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◇◆◇◆
「ナイス、トス!」
「ぅらあっ」
「ギャハハ!お前ハリキリすぎだろ」
放課後ーーーーさっそく球技大会の練習を始めるために体育館に入ると楽しそうな笑い声が響いていた。
ボールが床に跳ねる音。
掛け声に混じった笑い声。
なんかいいな、こういうの。
はしゃいでいるクラスメートを眺めながら口に挟んでいたヘアゴムをとり肩までつく位長くなった黒髪を一つに纏めた。
髪が伸びたから切ろうかと迷っていたらすっかり散髪の機会を失ってしまった。
いちいち気にしすぎているのかもしれないけど一応他人の身体だし。
勝手なことはできない。
「あ、高橋!シューズの紐とれてる」
「…あ、あんがと」
おれの後から体育館に入った木村がほどけたシューズの紐をしゃがんで結び直してくれる。
嫁…!!
嫁がいる!!
気が利くし、ちまっとして可愛いし、なんか小動物みてえ、木村って。
木村のつむじを見ながらそんなことを考えていると無性にその頭を撫でたくなった。
大輝の時は木村と同じような背丈だったからこんな見下ろすことなんてなかったもんな。
思わず頭を撫でると大げさなくらいに木村が飛び跳ねて驚いた。
「わっ、なに!?」
「いや、木村があまりにも可愛くて」
思ったままを伝えると思いきり顔を顰められた。
「……高橋ってさ、天然のタラシ?」
「は?」
「自覚ナシかよ!これだからモテる男はさぁー…」
どこらへんが気にくわなかったか分からないけど眉をひそめてブツブツ呟く木村の横顔を眺めながらつい先日見てしまった屋上での光景を思い出してしまった。
木村は恭一が好きなんだよな……
おれには男が男を好きになる気持ちは分からないけどあの時見た木村の顔はとても真剣で笑い飛ばしたり、気持ち悪がったりできないものだと思った。
しかも相手は恭一だし。
…………。
先にコートに入っていく小さな背中を見送りながら首を傾げる。
なんでこんないいやつがよりにもよって恭一を……
ドンッ
木村の姿をボーッと見ていたら尻に鈍痛が走った。
振り向くと恭一が不機嫌そうな顔して立っていて今しがたの思考を見透かされたのかとギクリとした。
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